最弱天使はお子様学生

@miyuki-mahiro

第1話 ガタガタ!!わわわ……!!編

ここは天界。

地球上で尽きた命の再就職先の様な場所である。

その魂は天使と呼ばれ、地球上の生物に影響を与える存在として新たな使命を帯びている。

私はそんな天使の中でもエリートで…………


???「…きなさい…」


何だか騒がしい声がする。今から私のエリート列伝が始まるのに…。


???「起きなさい!!ミーナさん!!」


ミーナ「んっ……!?わわわ……」


ガタガタ!!!どしゃん!!


ミーナ「痛てて…。何だ、先生か…」


先生「何だとは何ですか!ミーナさん、こんな事では人間界でも落ちこぼれてしまいますよ?」


ミーナ「(ちょっとユキ…!何で起こしてくれなかったの!?)」


崩れ落ちた床から隣の席の親友ユキに八つ当たりの視線を向けた。


ユキ「ちぎった消しゴムを何回当てたら起きるか試したけど、結局起きなかったね笑」


この子は…私以上にぶっ飛んでるよね…。


放課後


ミーナ「あーあ、また叱られちゃった。来週から地球の学生に転生するって言うのに幸先悪いよね」


ユキ「でもミーナが一番今回の転生に合ってるんじゃないかな?天使の一部は能力が高すぎて、転生した先で力を暴走させたり大なり小なり事件を起こしてるって言うから」


嫌味のようなセリフを自然に吐くこの子はユキ。天使になって初めての友達、そして数少ない親友。

天使としての能力はめちゃ高くて一番低い私とは真逆。

でこぼこコンビだけど、そんな所が面白くって何だかんだ長い付き合いなんだ。


ミーナ「さらりとディスるの止めてもらって良いっすか…。ってこのやり取りも今週で終わっちゃうのかあ。」


ユキ「転生しちゃうと中々会えなくなっちゃうもんね。何ならユキも転生しちゃおうかな笑」


ミーナ「これは事件の予感!!」


ユキ「もー!酷い!」 二人「ははははは!」


ほんと言うと毎日あんま寝れてないんだよね。

能力の低い私が転生に選ばれたのもプレッシャーだし、転生先の言葉や文化の勉強も毎日遅くまでしてる。

何よりユキと離れるのが一番辛い。


ユキ「ミーナ」


ミーナ「ん?」


ユキ「甘いものでも食べて帰ろ」


ミーナ「…賛成!!」


帰り道


私は元々人間だったらしいがその時の記憶は無い。

ただ今の天界での暮らしが人間の時と近いと言うのは学校で教わったり、本や映像で知っている。

こう言う事は深く考えたら負け、って先輩天使は言ってた。


ユキ「ここだよ~新しく出来たケーキ屋さん!」


ミーナ「わーー!外まで美味しい匂いがしてる!」


ギャーギャー騒ぎながらケーキを買って、二人で外のベンチでむしゃむしゃ食べた。

学校に通う天使は買い食い禁止だけど今日は特別だよね。

空は夕日、少しずつ暗くなる空を二人で見つめた。


ミーナ「ふー食べた食べた。歩いてる内に消化は出来なかったね笑」


ユキ「今から宿舎の周りでも走る?吐いた方が勝ちね」


ミーナ「いやもうその発想について行けてないっすわ……」


学校通いの天使は宿舎に住んでいる。細かいルールが沢山あるんだけど、私たちはちょいちょい違反しては怒られがち。

そろそろちゃんとしよう!って思ってた矢先に転生の話が来ちゃったから、とっても残念。


ユキ「等と言っているが守るつもりなど全く無いのであった」


ミーナ「おい!」


ユキの宿舎と私の宿舎は反対なので入り口で別れた。

お風呂に入らなきゃだけどもう眠い、でも頑張って入らなきゃだね。


天使と言っても羽とか生えてる訳ではなく姿も人間に近い。と言うより人間そのものだ。

服を脱いでお風呂で体を清めた。


寝る前に勉強もしなきゃ…。

学校では天使の能力に関する授業はするけど、転生先に関する授業はしてくれない。

天使能力向上が苦手な分、せめて転生先の勉強は頑張らないとね。


結局机の上で寝落ちしてしまったみたい…。


翌日


ガタガタ!!


ミーナ「……うわわ!!」


デジャブかな、起きるときは、いつもこれ。


危なく椅子から転げ落ちる所だった…、もう学校に行く時間。

昨日髪を整えずに寝ちゃったから爆発してる、時間も無いし面倒なので適当に縛って登校する事にした。


???「おはよーミーナ!あれ?すんごい寝ぐせ付いてるよ!?」


覚悟はしていた…もう今日は身だしなみは諦めようかなあ笑


ミーナ「アリサ~おはよ~」


アリサ「フフフ、後で直してあげるよ笑」


アリサは同じクラスで風紀委員、しっかり者だけど意外と寛容で優しいおっとりさん。

子供っぽい私と違って大人っぽいんだよね。


??「アーリ、ミーナはその奇抜なファッションを流行らせたいみたいだよ」


この声はユキか…。


アリサ「あ、ユキちゃん!おはよー!…そうなの?じゃあ邪魔しない方が良いかなあ?」


ミーナ「ユキ…せっかくのお色直しチャンス(無料)を潰さないでくれ…」


ユキ「~♪」


ユキは私をいじると駆け足で先に行ってしまった。

朝から元気すぎる…。見習うべきなのかこれは。


ミーナ「アリサ~後でお願い」


アリサ「うん笑OKだよ」


学校


一限目は未来調整。

簡単に言うと今寝るか寝ないかで未来の結果が変わるって事かな笑。本当は運命の操作の仕方やルールの勉強なんだけど、割と複雑で時間や光を操れないとダメ。

私はどっちも苦手で、寝るか寝ないかみたいな物理的な変え方位しかできないんだよね…。


先生「ではユキさん。このテスト検体の未来を指定された通りに調整してください」


ユキ「はい」


テスト検体から沢山の光の線が出ると、ユキはその線を素早く組み替えた。

一応線は見えるけど、私が触ると光が偏光したり弱くなっちゃう。それがずっと続いたから、付いたあだ名が最弱天使って訳よ。


先生「完璧です。数年先の未来までしっかり調整できています」


ユキ「ありがとうございます」


うーん、流石ユキ。今日もユキが一番成績良かった。と言うか一桁レベルが違うから圧倒的だね。

私も少し偏光を防げたから成長、かな?


二限目は物質調整。

簡単に言うとどっからか物質の材料を集めて色々作れちゃう能力かな。天使は能力地域じゃない転生先でもこの能力を使えるから問題になってる。

私は全然作れないから逆にそう言う地域に行かされるんだと思う。


先生「作り出した物体はあくまで能力によって作られた調整物です。従って能力を緩めるとそれらは飛散してしまいます。あくまで一時的、仮の結晶だと覚えておいてください」


昼休み


ミーナ「あーお腹空いた。ユキー食堂行こ~」


ユキ「いいよー、今日のメニュー何だろ」


食堂は早く行かないとすぐに満席になってしまう。座席が取れないと人気の日替わり定食は諦めて、持ち帰りのパン食を教室で食べる事になる。

と、言う訳で…。


先生「こらー!ミーナさん!ユキさん!廊下は走らない!!!」


アリサ「私も走ろ笑」


三限目は言語調整。


続く……

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