第9話:攻撃方法を考えよう
カイトとポーラは、すぐに寝てしまった。やはり、疲れていたようだ。
ポーラは見たまんま、元気いっぱい。毎回、満面の笑みでこちらに話しかけてくれるのが、とってもかわいい。
カイトはしっかりしてるし、いろいろこの世界の常識を教えてくれる。けど、まだ12歳の子どもだ。しっかり守ってあげないと。
・・・そのためにも、戦えるようにならないと
そう思い、ステータスの画面を開いてみる。
そうすると、昨日と変わっている箇所が2つあった。『土魔法』と『鑑定』だ。
どちらも横の数字が、1から2になっていた。
「レベルが・・・、あがった、の?」
スキルにも『鑑定』が使えることを思い出し、『土魔法』に『鑑定』を使ってみる。
魔法がスキルなのかは不明だが・・・
♢ ♢ ♢
『土魔法』2
魔素から土を生み出しイメージした形を作り出せる。
形成した土を操ることができる。
♢ ♢ ♢
下が、新しくできるようになったことなのかな?
比較できるように、レベルあがる前に『鑑定』しとけばよかったかも・・・
とりあえず、試してみる。
『土魔法』で土の塊を生み出し、壁に向かえと念じてみる。
すると土の塊は、ゆっくりと、壁に向かい、ぶつかって壊れた。
・・・うーん。なんか思ってたのと違う・・・
もっと、こう・・・、どーっん!って感じを期待してたんだけど・・・
そっか。魔法はイメージだ。勢いよく飛んでいく感じをイメージして・・・
飛ばす物も、もっと鋭い感じで・・・、細長い八面体の土の塊を作ってみた。
触って見た感じ、土というよりは、石みたいな感じかな。歴史の授業で習った、旧石器時代のゴツゴツした石器みたいな感じだ。
作り出した塊と、壁を交互に見つめ、狙いを定めて・・・
打ち出してみた。
・・・ゴンっと音を立てて、土の塊が、壁にぶつかり、壁を5センチほど窪ませた。
よし! うまくいった!
思ったより音が大きかったから、カイト達が起きないかと焦ったが、ぐっすり寝ているようで安心した。
その後も試してみたところ、土の塊の形を、矢のようにしてみたり、大きなボールサイズにしてみたりしたが、どれもうまく壁にぶつけることができた。
壁にぶつける速度も、3段階ぐらいに差を付けられるようになった。
『土魔法』はほんとに便利だね。
そういえばなんで『土魔法』だけレベルが上がったんだろう。それに『鑑定』のスキルも。
他の魔法と『土魔法』の違い・・・、『鑑定』と他のスキル、『身体装甲』との違いといえば・・・
使った回数? 『土魔法』、階段とか作るのに使いまくってたか・・・
他の魔法は、最初に試した以外だと、『火魔法』はカイト達を助けるときや肉を焼く時、『水魔法』は飲み水出す時に何度か使ったけど、『土魔法』よりは全然少ないか・・・
『鑑定』のスキルも、何回も使ったけど、『身体装甲』は、最初に着替えた時以外は使ってないもんね。
・・・なるほど。魔法やスキルを使えば使うほど、レベルが上がるのか。
「と、なると、明日からもたくさん魔法やスキルを使ってみるべきね」
そう思いつつ、カイトやポーラに『鑑定』のスキルを使ってみた。
♢ ♢ ♢
名前:カイト
種族:人間
年齢:12
魔法:水魔法0、土魔法0
スキル:身体強化1
耐性:物理攻撃耐性1、精神耐性1
名前:ポーラ
種族:人間
年齢:6
魔法:火魔法0、水魔法0、光魔法0、闇魔法0
ユニークスキル:魔法能力中
♢ ♢ ♢
今更だが、勝手に『鑑定』してよかったんだろうか。
許可も得ずに人のステータス見るとか、プライバシーの侵害になっちゃうよね。
明日謝んなきゃ・・・
それはさておき、2人のステータスだ。
カイトもポーラも魔法が使えるらしい。やっぱ貴族の血筋ってことかな。
ただ、レベルが0なのは、どういうことなんだろ。
まだ、使えるわけではなくて、可能性があるってことなのかな?
・・・というか、ポーラの魔法、『闇魔法』か。
私も使えるのかなぁー?
・・・そう思いながら、影をイメージしてみた。闇といって思いついたのが、影しか無かった。
しかし、何も起こらなかった。
私に『闇魔法』は使えないのかなー、と思い、自分のステータスを見てみると、『闇魔法』が追加されていた。
・・・ただ、レベルは0だった。
分からない。ステータス的には使えるけど、使えない?
『闇魔法』に『鑑定』を使ってみたが、何も分からなかった。
・・・しょうがない、後回しだ。
次に気になったのは、カイトの『身体強化』だ。これは既にレベルが1になっている。
『鑑定』してみると、
♢ ♢ ♢
『身体強化』
魔力で身体を強化し、身体能力を向上させる。
♢ ♢ ♢
・・・まあ、そうだよね。そのまんまだ。
『身体強化』が使えるってことは、カイトは武闘派ってことかな?
というか、魔力か。『身体装甲』や『自動防御』は、魔素を使うらしかったけど、魔素と魔力ってなにが違うんだろう・・・
いつも通り後回しにしておく。
ただ、カイトが『身体強化』で戦えるようになるのは、いいことかもしれない。
カイトやポーラが戦うのなんか、怖くて見てられない気がするけど、身を守る術があることはいいことだ。
あとは、ポーラの『魔法能力』か。私は“極”だったけど、ポーラは“中”か。種族的な違いだろうか?
カイトが言うには、人間は魔法を使える人が少ないみたいだし、ポーラの中でも、いい方なのかも。ポーラも魔法を使えたらいいな。
そんなことを考えていたら、だんだん眠くなってきた。
よく考えたら、私もまだ、この世界に生まれて2日しか経ってないんだよなー
・・・それにしては、いろいろありすぎだけどね。
これ以上考えていると、明日に響くので、今日はもう寝ることにした。
♢ ♢ ♢
目を覚ますと、既にカイトとポーラは起きていたようだ。
「・・・・・・おはよう。カイト、ポーラ」
「おはよう! コトハ姉ちゃん!」
「おはよう、お姉ちゃん」
「2人ともよく寝れた?」
「うん! 土のベッド、すごかったよ!」
「うん、寝心地抜群だった」
「そっか。よかった」
『水魔法』で水を出して、顔を洗い、『アマジュの実』で朝ご飯を済ませる。
・・・さて、2人に謝らないと。
「・・・森に行く前に、2人に謝らないといけなくてさ」
「謝る?」
「うん。・・・実はさ、昨日2人が寝た後に、2人に『鑑定』のスキル勝手に使っちゃったんだ。ごめんね、勝手にステータス見ちゃって」
「・・・え?」
「ほんとにごめん!」
カイトがびっくりして私を見つめた。ポーラはよく分かっていないようで、私とカイトを交互に見つめている。
「あ、違う。別にステータス見たこと、怒ってる訳じゃなくて・・・」
「・・・・・・怒ってるんじゃないの?」
「なんで?」
「・・・いや。勝手に個人情報見ちゃったわけだし・・・」
「うーん。自分のステータスはあんまり人に教えるものじゃないけど、お姉ちゃんなら平気だよ!
・・・・・・っていうかそこじゃないよ! お姉ちゃん、人のステータスに『鑑定』使えるの!?」
「・・・うん。自分のステータスも、カイト達のステータスも見れたよ? それがどうしたの?」
「・・・あの、ね、お姉ちゃん。『鑑定』のスキル使える人でも、人のステータスなんか、見られないの! 『鑑定』のスキルで見られるのは、食べ物とか武具とかだけなの! ステータスは、教会で水晶に触れて調べるしかないんだよ」
「・・・えっと、じゃあ、私の『鑑定』は特別ってこと、なのかな?」
「・・・たぶん。やっぱりお姉ちゃんは、・・・変、す、すごいや!」
・・・うん。朝っぱらから、カイトに変人扱いされたよ。泣きそう。
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