神様に殺されて異世界転生させられました

蓮華

プロローグ

よく、人生は一度きりと言うけれど、もしも選んだ道が第二の人生に繋がる道だったなら。


朝、いつものように同じ時間に起きて仕事に行く。

変わらない景色を眺めて、変わらない日常を送って、お腹が空いたならご飯を食べる。


平和が当たり前になった現代は、平和な日常を退屈だと感じる。

何か刺激が欲しくて馬鹿をやってみたり、人と違うことをしてみたりする輩が増えてきたように感じるそんな中で、いつものように仕事を終えて、帰路に就く。


いつもと変わらない日常、刺激のない日常。

一人で過ごす日常はこんなにも退屈で、こんなにもつまらない。

けれど、そんな日常をもっと満喫していればよかった。


いつもと違う道を、選ばなければよかった。

そうしたらきっと、こんな目に合わなかったのに。





キキ___________ッ!!!

ドンッ!!!






視界に広がるのは雲一つないオレンジの空。

宙に浮いた自身の体。

道行く人々が悲鳴を上げて、私を轢いていった車は逃げていく。

遠くからはサイレンの音が聞こえてきて、ボヤァとしだした視界には、塊のような、人のような白い何かが映り込む。

サイレンの音がだんだん大きくなる中、それはハッキリと聞こえた。


「みぃつけた」


弧を描く口元に、低く、さっぱりとした声。

けれど、どこか嬉しそうなその声に何故か安心した。

…のも束の間。


「さあ、行こうか。キミが望んだ刺激的な世界へ。」


また聞こえてきた声に、次はゾッとした。

だって、今気が付いた。

あまりにも、状況把握が出来すぎていて、すぐに落ちていても不思議でない体は時が止まったかのようにほぼ動いていない。

それなのに、耳に届いた今の言葉で落ちる速度が上がり_________。


グシャッ‼


嫌な音が耳に届いた。

(ああ、これはもう、助からない…な…)

血が流れ出ていくのを感じる。

瞼が重くなり、目が閉じるのに抗えない。


こんなことになるのなら、もっと好きなことをしていればよかった。

後悔しても遅いことはわかってる。

それでも、後悔せずにはいられない。

だって私、生まれてこの方20年しか生きていない。

ねえ神様、今じゃなくてもよかったじゃん。

なんで今だったのか教えてよ。

思っても声に出せれないのなら意味がない。

わかっているからこそもどかしい。


熱くて寒くて、思考もままならなくなってきた。

眠くて、考えるのが億劫になってくる。

次第に意識が遠のき、最後に耳に入ってきたのは、あの男の声だった。


「ようこそ!リアトリスの花へ‼」

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