コロナ族vsオミクロン族・クミよ永遠に

しおとれもん

第1話 新人の薬師久美

上善寺直美が宗像亮一の慟哭を残して出て行った病室の先の通路に壁に持たれた米原務(まいばらつとむ)には同僚を見舞う機会などサラサラ無かった事に気付き、佐和鳶一縷は病室から出てきたナオミの肩をそっと、抱いた・・・。

フラれるとは思わずに。


 「エーッと・・・アレ?」


パソコンを睨む亮一にはぎこちないが四本の指はちゃんと着いていて遜色無い業務姿勢はカローラ岐阜の営業所長以下、亮一は生まれ変わったものだと頑なに信じていた。

「ありゃりゃ、そうか・・・。」


宗像亮一は、不倫相手の牧野つばさに服従している殺人罪で、刑務所に出張中の実兄が手配した舎弟が両手指を親指を残して切断され、咄嗟の気転で、つばさが切断された三指を接着したことにより指は回復していた。

 カツカツカツ、亮一の背後で二つのヒール音がピタリと止まり「宗像さん新人を紹介しますねー、薬師久美(やくしくみ)さん21歳です。


今日からサービスフロント事務社員として、仕事をされますので、ご指導をお願いします。」

 総務課の市原恵津子(いちはらえつこ)が背中越しの生返事だけをして背中を見せている亮一に通り一辺の紹介をしていった。どうでも良かった。


 2人が、営業課から遠ざかり給湯室を通り過ぎる刹那、久美が横を向いて給湯室の中を覗いた横顔を見た亮一は、「若いし、肌は白いし可愛い!」


と、妙な評価を下したが、そのままパソコンを打ち続けていた。


 脇目も振らずだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る