大利根夢唄
常石 及
大利根夢唄
生ぬるい風に吹かれて パソコンの画面に映る
ベランダの柵に止まりてちゅんちゅんと 雀の歌聴く梅雨晴れの午後
大利根のほとりに住みて早一年 二度目の夏もまた夢を追う
ご近所でみんみん蝉が叫んでる 俺も鍵盤叩いて叫ぶ
ベランダで蚊に刺されながら肉を焼く平日の昼間 ああ酒が美味い
どこまでも澄み切つているこの空に描いた夢を塗りたくりたい
自転車をふと思い立ちて漕いで行く 入道雲がただ呼んでいた
堤防に生え散らかした草の海 青臭い でもまあ悪くない
遠くからブルブルと鳴るエンジン音 やあ また友が遊びに来たな
呑んで寝て 食べては呑んで また眠り ふと目覚めては小説を書く
エアコンの工事の金が払えない そんな暮らしも夢さえ追えれば
作つても作つても麦茶すぐ消える まるで夏雲に飲まれてるみたい
あの蝉はなんて名前と君が言う そいつはきっと空蝉なんだ
町中にチャイムの音が鳴り響く 我が家の庭に沼蛙鳴く
雷が雹を降らせて輝いた 僕の心もああなれるかな
文字を書け 筆を動かせ 辛くても 命を燃やせ 夢はすぐそこ
夕方に感じる風の涼しさが 日々の暮らしに幸せをくれた
夕暮れに連れ立つて飛ぶ白鷺を眺めて独り将来を想ふ
扇風機 線香の香り漂わし 今夜も文字を書き連ねたり
人並みの幸せなんて棄てちまえ 俺には俺の幸せがある
大利根夢唄 常石 及 @tsuneishi
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