異界鎮魂歌〜異世界に転生(?)して龍女として生きる!!〜
タマニアル出来事
プロローグ 死と憑依
何者かが嘲笑っている。その声は何度も何度も聞いた声。共に同じ道を歩んだ仲間の声。
「アラマス…。何故だ何故なのだ。何故私を殺した」
そう言うと、さらにその声は音量を上げ、再び嘲笑った。
薄い蒼色の中に流れていたはずの白雲が今では紅く照らされたあかね雲がただ流れているだけ。その中で奏でられる狂気的な笑い声…。
そうかこれが私の鎮魂歌か。
ーーーーーーーーーーー
「やっぱ、ループ系は面白いなぁ!」
立ちはだかる難所を試行錯誤して潜り抜ける!こんなに面白いもんはねぇ!はぁ…俺の人生もループ出来ればいいのに。
小説片手にコーヒーを飲んでいるのは…年齢、二十一。両親は高校生の時に両方誰かに殺された。そしておじおばの元で育った私の名前は
小中高の頃は頭が良ければなんだってできるって思ってた…。だから、友達一人すら作らずにその人生を送ってきた。今になってこそ思う。コミュニュケーションまじで大事だ。
社会ってものに幸せなんてものは存在しない。
意識しなくても出てくる私という一人称。
そんな自分が恐ろしい。
俺は社会に理想を抱きすぎたんだ。普通の人間は趣味なんかを見つけて、その気持ちを紛らわすのだろうが…俺にはない。この小説を読むのだってただの現実逃避の方法で趣味ではないのだから。
正直、死にたい。。。
俺はそう考えながら手に持っていた小説を整えらた段ボールに粗雑に投げ入れた。
理由?そんなの有り余るくらいある。
残業、金、人間関係、敬語、義務、税金税金税金税金税金税金税金税金税金!
何もかもが不満だらけ。特に税金!
とにかく金が足りない!金が足りないせいで、ろくに白米すら食ってない。もやし生活…とまではいかないが、健康的な食事をしているとは言えない。
社会への不満を心の中で語り、何気なく見ていたテレビに自殺という二文字が見えた。
どうやら学生が耐えられないいじめを受けていたせいだそうだ。
「もう、死ぬか」
そうだな、そうしよう。うん、自殺しよう。
思い返せば俺の人生はろくなもんじゃなかった。
頭こそいい俺だが、運動神経があまりにも低い上に、人に話しかける勇気がなく、ぼっち人生を送ってきた。
あー今でも心に来るな…。ある日同級生にお前誰だっけって言われたこと…。
蒼白な人生なんて一回も送ってこれなかった。何もかもが真っ暗闇で惨めだった。
そして今も…。
いっそのこと異世界転生とかしないかな〜。
そんな非現実的な考えに縋り付こうとしてる俺を見ると余計に辛くなってくる。
「とりあえず外、出よ」
俺は形見であるネックレスを身につけ、外へと通じる扉を力一杯に開いた。
その瞬間、暗転した。ーーーーーーーーーーような気がした。
まだ眠気が覚めていないのだろう。
俺はただゆっくりとぼやぼやする頭を抱えながら家から出た。家から出て、クラクションを鳴らす音が聞こえた。
俺はゆっくりとその音のした方向を見ると、そこには。
トラックが…。
「え?まじ?」
トラックが徐々に近づいてくる。時間が遅く感じる。これが死。
トラックが俺の目の前まで来た。
俺、死ぬのか。結局つまらない人生のまま終わりを…。
俺が心の中で言葉を続けようとしたその時、それはある衝撃によって吹き飛ばされた。
俺の目の前まで迫っていたトラックは…
隕石に激突した。
理解不能。いや、理解するのは無意味だ。だって結局、俺。
死ぬんだもん。
酷い頭痛を感じたかと思えばその瞬間、俺の視界は暗転した。
○○○○○○○○
視界が徐々に、徐々に広がっていく。死んだはずの俺はこの現象に驚き、実感する。
ここは日本?
いや、まだ目の前の光景が鮮明には見えないが恐らくここはあの世か何かなのだろう。
あの世…そんなものがあるなんて。
と、思考を巡らせて、矢継ぎ早に自分の理想を語っていく。
「あぁどうせなら天国行きたいな、それとも異世界転生とか?それもいいな〜」
客観的に見れば変な奴にしか見えないのだろうが…。そもそもの話自分のことを客観的に見れる人間なんていないだろう。
だから、出来ればずっとこのままでいさせてほしい。
俺はその意見を心の中に留めたつもりだったがどうやら、口に出ていたらしく…。
目の前の神様がそれに応えた。
「う〜ん、それは無理ー無理無理!絶対に無理!例えるならドーナツがバナナの中に入るぐらいありえないことだね!」
何とも下品な言葉使いだ。こいつ本当に神か?
そう思うと同時に俺のぼやけていた視界は徐々に完全なものになっていく。そうするとまず真っ先に目に入ったのは…。
目、碧眼だ。あまりに美しいその目は正に神と言えるだろう。だがその考えは数秒後に打ち崩されることとなる。
何故か?それは彼の服装、彼の表情、そして、周りの風景を見たからだ。
道化師のような服装、作り物の笑顔、そして、燃えているボロボロの建物に横たわる一人の死体。
「なんだこれ…」
「やぁ!どうやら現実が見えてきたようだね!(╹◡╹)まずは僕の自己紹介から!僕はジェスター!どうも!ジェスちゃんって呼んでね!」
「いや、聞いてないし、ここ…異世界か?」
「イェース!( ̄∇ ̄)ちなみに、ここはスパラージって惑星だよ!!(^ω^)」
ジェスターと名乗る人物は実にムカついてくる表情でそう説明した。
「いやいや、異世界ならなんで俺の言葉が、分かんだよ…」
「それは〜僕の三心のおかげさ!」
「三心?」
「そそ!"三心"ってのはね、単純に言えば神から与えられた三つの超能力ってこと。僕が君に使ったのは僕の三心の一つ。
『
「アウスガイスト?」
「一つの対象と一つの対象の魂を互いに交換させるものさ!で、魂ってのは体に刻まれた経験を吸い取ることができるの!君の体は何回もその言葉を耳に聞き、何度も書いたんだ」
「理解は出来ないが、まぁ、おおよそは分かったよ」
にっこりと笑うジェスターに俺は言う。
「目的は何だと」と。こいつがわざわざ異世界にいた俺とこの体を持ち主を交換させたのには必ず理由があったはずだ。
「う〜ん、(^ω^)悪いけど、上手く話せないかな〜言えることがあるとするなら君は今、特別な状況下にあるってことぐらいかな?まぁ原因は僕にあるんだけどね!^ - ^」
「特別な状況下?」
俺は耳に引っかかったその言葉を復唱した。
そして、それは何なのかと聞いたがジェスターは答えない。
仕方がないと俺は思ったので別の話題にすることにした。
「お前の話によると、この体の持ち主は今、俺のいた世界にいるってことなんだよな?」
着々と話を進めようとする俺にジェスターは…。
手を腹に突き刺した。
「な、何を…!」
突然すぎたのでそれしか言えなかった。
「君、まるでこの状況を楽しんでるみたいだ…普通こういうのって恋愛感情のない奴と営みをした時みたいに驚愕するはずなんだけど………」
「い、意味わかんねぇよ…あ…ッ!」
血が止まらない。だめだ死んだ。また死んだ。何回死ぬんだ。
意識が遠のいていくなか…ジェスターが俺の耳にこう囁いた。
「ま、一回死んでみれば分かるさ」
「口先で説明するのめんどいし(╹◡╹)」
ーーーーーーーーー
視界が暗転したかと思えば、また俺の目に黄色い光が否、赤い光が降り注いできた。
目を覚ますと俺は…
見るも無惨な程に荒廃し、空が赤くなった世界。面影はない。だが、分かってしまう。ここは、俺の暮らしていた日本だ。俺は…日本に戻ってきたのだ。
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