第166話 竜神殿の大神官。
「まあ、それしか方法がないとなればそうするけれど……。ほかに何か方法はないの?」
一応祖先とはいえ、見たこともない弓神に信仰を取られるとなると、ユリアたちも面白くはないのは事実である。
何もしていないところか、彼女たちがこんな状況になった遠因になった存在に信仰を渡すのは面白くない部分はある。それを聞いてアヴリルはうーん、と考え込む。
「まあ……他にないこともないけど……。それこそ、竜様の竜神殿の神官になればいいのでは?それならば竜様の信仰を集めたり、そのパワーソースを自由に割り振りできるから竜様の苦労がだいぶん減るのでは?」
そ、その考えはなかった~!!とユリアとレイアはキラキラと目を輝かせる。
これなら冒険者を辞めたとしてもエルの力になることができる。王家の末裔が神官になるというのなら、まあ収まりはいいだろう。理由はこの混乱を招いたとでも適当な理由をつけて、ほとんど滅んでいる王家から竜神殿に収まるのも悪くない。
ただ象徴でいられるよりも、エルのために働くというのは彼女たちのやる気も沸いてくるというものである。
辺境伯ルーシアとの約束で片方は安全なところで暮らしてほしい、という願いも竜神殿の大神官となればルーシアとの約束も、彼女たち自身のエルの役に立ちたいという願いも両方こなせるだろう。
片方が冒険者、片方が竜神殿の大神官という形になれば、ルーシアとの約束を守りつつもエルの役に立つこともできる。だが、そうなると別の問題もある。
「そうなると、他の神殿たちが絶対目をむいて敵視してくるでしょうね……。特に大地母神の神殿ならともかく、至高神と弓神の神殿は切れるでしょうね。
特に、弓神は弓神の血を引く存在が竜に使えるなど絶対許さないでしょうけど……。」
「?それが何か問題が?」
しれっとユリアは真顔でそう言い放つ。そうなると、ただでさえミストルティンが破壊されてメンツが丸つぶれなのに、さらに徹底的にメンツが潰されてしまう形になってしまう。弓神自身はともかく、弓神の神殿は不倶戴天の敵として竜神殿を狙ってくるだろう。だが、彼女たち自身のやる気的にこれが一番しっくりくるのだから仕方ない。せっかくうまく信仰問題を纏めるために配信を提案したのだが、これではまた逆戻りではあるが、少なくとも至高神の神殿と弓神の神殿以外ではこちらを敵視しないだろうとアヴリルははあ、とため息をついた。
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