第128話 王都攻防戦2

『はー、めんどくさい事になったなぁ……。』


 エルは重力魔術の応用、反重力を応用して自らの重力を打ち消しながら、王国の空を飛行していた。

 彼も元は地竜のため、飛行はあまり得意ではないが、こうして魔力を用いる事によって空中を飛行しているのである。

 そして、彼の周囲には、同様にティフォーネから与えられた純白のワイバーン、使役竜が編隊を組んで飛翔している。

 ティフォーネから鱗を与えられたエルならば、自由自在に操作できるが、それでもこれだけの大群を一人で制御するのは難しい。

 それを辺境伯ルーシアに相談したら、ワイバーンに馬の鞍を改造した鞍を付けて、人を乗せる「竜騎士」たちを引き連れたらどうか?と提案された。

 ティフォーネからも、渋々と自らの鱗を砕いた鱗の断片を彼ら竜騎士に与えて、彼らがより独自制御させやすいようになっている。

(何で自分で自分の鱗を砕かにゃならんのか……)

 ともあれ、きちんと偵察が行える彼ら竜騎士の存在はありがたい。

 まずは彼らを先遣隊として、派遣して状況を探ってもらっている。


《王都までの敵影無し!対航空部隊確認取れず!!このまま先行します!!》


 向こうからも、空飛ぶ魔女たちの対航空部隊が襲いかかってくると思っていたが、それもないらしい。この世界では航空戦力もある程度存在しているため、それに対抗するための戦力もある程度は整えてられている。


(それがないと言う事は、向こうも大分混乱していると見える。ミストルティン破壊を配信で流したから、もうこちらに逆らうのは王都の人類至上派ぐらいだろう。元中立派の村や街でも休む場所ぐらいは作ってくれるだろう。)


 いかに空で進軍するのが速いとは言え、それでも王都への飛行は数日程度かかる。

 しかも、その間の村や街は、中立派が大半であるため、休む場所を提供してもらえるか疑問だったが、さすがにここまで大勢が決しているので、逆らう気はないだろう。

 その間、休む場所の村を確保しつつ、彼らはついに王都へと到着した。


『何じゃありゃ!!ガチガチの防備じゃないか!!』


 そう、王都は都市全体が対空防御結界に覆われ、バリスタなど無数の対空防御で固められていた。こりゃ手間隙かかるな……とエルは心の中で呟いた。


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