第60話 謎の清楚系超絶天才美少女経産婦T再び。
ふわり、と腐敗の空気とエルたちの間に入り込んだ爽やかな風は、次第にそれはヒュウヒュウと吹き荒び、次第に猛烈な豪風へと変化していく。
その豪風は竜巻のように小型腐敗竜の周辺を取り囲み、肉体から発せられる腐敗の空気を全て上空へと舞い上げて拡散していく。
しかもそれだけではない。これは浄化の力を秘めた浄化の風。
元より風、大気は毒素を拡散させ、無効化するという浄化の力を秘めている。その力を”ちょっと”強くしたのがこの風である。
その風は、さらに強くなっていき、強烈な竜巻へと変化していく。
さらにそれだけでなく、その内部に猛烈な真空刃を生み出し、潰れた腐敗竜を切り裂き、削り取り、その肉片は浄化の風によって消滅していく。
少しずつ肉をこぞきおとす竜巻の牢獄。
そこに閉じ込められた彼らは、肉をこぞきおとされながらも悲鳴を上げる。
猛烈な毒気を噴出するが、それも猛烈な竜巻の前では全くの無駄である。
毒気を浄化され、肉をも全て切り裂かれている腐敗竜は、まさにミキサーに閉じ込められた様なものである。
他の腐敗竜は、必死になって吹き飛ばされないように地面にしがみつくがそれも無駄な事。
強力な竜巻は、鉄筋コンクリートや鉄骨の建物をも一瞬で崩壊させ、人間を含む動物や植物、大型の自動車なども吹き飛ばしていく。それは当然小型の腐敗竜でも例外ではない。重力魔術によって押しつぶされていた残骸なども木々と共に全て上空へと吹き飛ばされていく。
2mぐらいの小型の腐敗竜には耐えられるはずもない。
吹き飛んだ腐敗竜たちは、真空刃で切り裂かれ、風圧によってまるで雑巾が絞られるように肉体を捻れていく。
そして、そのまま空中に吹き飛ばされながら、捻られて引きちぎられ、さらに真空刃によって切り刻まれていく。さらに根こそぎ地面ごと引きはがされた巨大な木々も刃となって腐敗竜を破壊していく。
地面ごとミキサーにかけられたようなそこには、腐敗竜の残骸すら残っていない。大きな穴が空いているだけである。
いきなり目の前で巨大な竜巻が起こり、それが敵を飲み込んで次々と破壊して、しかもこちらに一切危害を与えないというのは流石に驚いたらしい。
これはどこからどう見ても攻撃魔術の一つである。だが、これほど巨大な魔術を連射できるとなると、それは人間では到底不可能である。
いきなりの異常な気象現象に皆が呆然としている中、高位の魔術師であるアヴリルはそれを見て叫びをあげる。
「こ、これは……これほど大規模で強力な竜巻を起こして、しかも運よく彼らが飲み込まれて殲滅するなどありえません!これはどこからどう見ても強大な攻撃魔術です!!」
そんな彼女の叫びを肯定するように、彼らの前に遥か上空より『何か』が飛来して猛烈な勢いで着地する。
輝くような銀の髪に、純白で統一されたローブを身に纏い、巨大な翼と尻尾、手に杖を持ったその絶世の美女は、ビシッ!とポーズを決めながらエルたちに対して言葉を放つ。
「そう!これを成したのはこの私!!私こそ、謎の清楚系超絶天才美少女経産婦『T』です!!この厄介なクソボケどもを殲滅した私を泣いて崇めてもいいのですよ?」
えへん!と腰に手を当てて胸を張る彼女に対して、思わずコメントの突っ込みが炸裂する。
《あっ!以前迷宮で現れた狂人!!》
《何かよく分からない滅茶苦茶怪しい人!!ありがとう!!》
《確かドラゴンの母親のママ友とか抜かしてたっけ?》
《偉そうでよくわからないけど実際強い狂人!!こんなに強かったのか……。(困惑)》
そのコメントを見ながら、また厄介なことになりそうだなぁ……。とエルは漠然と思った。
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