異世界転生して聖剣の適合者に選ばれたが逃げ出したい

みそぎ

プロローグ 転生する時に女神に会うのが定番だけど実際はこんなもん

眩しいな、


気がつくと、やたらと眩しい空間に立っていた。


辺りを見渡すが空間の真ん中にやたらと豪華な装飾品を付けた女が座っていた。


いったいここはどこなんだ?


頭にモヤがかかりこの空間に来る前の記憶が何も思い出せない。

俺は一体…





「ボサっとしてないでこっちにきたらどうなの?」



そう言われて声の方を向くと先程見かけた女がこちらを見ていた。

そもそもあの女は誰なんだ?

ここは一体どこなのか、なぜあの女はあんなにも余裕なんだ、



何も分からないがとりあえず言われた通りに女の方に向かっていく。




「あら、やっと来ましたね。さっさと座ってくださいな」



心底めんどくさいといった感じに言われるがとりあえず椅子に座る。




「齋藤深夜さん、あなたは幸運にも死んだ人間の中から選ばれた非常に誇るべき人間です。」



そんなことを言われるが訳がわからない、自分には死んだ記憶などないしなぜ死んだことを目の前の女が知っているのだろう、



「混乱するのも無理はないでしょう、とりあえずあなたは死に、その後転生するためにここに招かれたのです。」


「いや、死んだとか言われても訳分からないんですけど、まずここはどこで貴方は誰なんですか?」


「察しが悪いですね、死んで転生すると言われてそこにいる存在なんて女神様に決まっているでしょう。ここは死んで選ばれた者が次の世界に転生する前の生と死の空間とでも呼ばれるものです。」



どうやら目の前の存在は女神らしい。

こちらを見下す様に説明する女神に苛立ちを覚えるも堪え詳しいことを聞く。


「とりあえずなんとか死んだことは分かりました。でもなんで自分が選ばれて転生なんてするのでしょうか?」


「選ばれた理由なんて特にありません。ただ死んだ人間の中から適当に選んだ結果貴方だっただけです。沢山の死人の中から選ばれて第2の人生を歩めるなんて幸運でしょ?」



そんな馬鹿にするかの様な感じに説明される。

だが、転生するのはどうやら決定事項みたいだ、いろいろ聞きたいこともあるし文句も言いたいが女神に逆らってもいいことなどないだろうしとりあえず状況はわかった



「そ、それは……異世界転生と言うやつなのでしょうか?」


「ええそうです。あなた達の世界で流行っているみたいですし、わかったらさっさと転生してくださいな」


「え、待ってください! なにか能力とかは貰えないのですか?」



異世界転生といえばチート能力を貰えるのがお約束だ。

なにしろこういう転生は大抵は魔物などがいる危険な世界に転生させられるのが多い。

ただの一般人でしかない自分にはとても生きていけない、だからこそ何かしらの能力は貰わないとすぐ死んでしまう。



「ああ、そんなものあるわけないじゃないですか。なんで私たちの力を使ってわざわざ貴方に能力を授けなきゃいけないんですか。」


「いや、待ってください!どんな世界に転生するのか知りませんが能力とか貰えないとまたすぐ死んでしまいます!」


「貴方はなにか勘違いしているようですが私が貴方を転生させるのはただの暇つぶし、すぐに死のうがどうでもいいんですよ。」



最悪なことが起きた。

薄々わかっていたが目の前の女神は人間のことなどなにも思ってないらしい。

本当に自分がすぐ死んでもどうでもいいのだろう。

女神にとって自分は道に落ちてる石と変わらない何ら変わらない存在なのだろう。



「では、転生させますね、せいぜい楽しませてくださいね。」



絶望している中そんな言葉が聞こえた。

それと同時に意識が消えていく。

目の前の女神が邪悪な笑みを浮かべているのが朧気にわかるがもはやどうしようもない。


(ふざけんなよ…この女神絶対に許さねえ、、、)



そんなことを思いながら深夜は意識を手放す。

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