間に合うか否か
ミヨモとジャンは新たな装備を取りにドットの工房へと向かう事とした。現在、デデンの街の冒険者ギルドでは冒険者パーティーが割り振られた防衛先への移動の為に馬車の手配を行っているが、準備完了までに間に合わなければミヨモとジャンはクエスト不参加、更には逃亡とみなされ冒険者資格もはく奪されてしまうのだ。
だが新たな装備がなければ戦いが厳しいものとなると考えたミヨモ達ははく奪リスクを負いながらも工房へと向かう事としたのだ。
「ミヨモとジャン、大丈夫なのか……」
「見たところまだ配布にも時間がかかりそうだし、馬車の手配となると更に時間がかかりそうだし、そこまでの心配はいらないわ」
「!!いや、そうとも言えないな」
「どうしてですかカイルさん?」
ティアは全パーティー分の配布、そして馬車の手配は時間がかかると踏んでいたが、カイルはギルド職員のある動きを見て、そうとも言えないと発言する。
「何名かのギルド職員がこの部屋を出ている、防衛先の全パーティーに配布が終えれば馬車の手配をしているかもな」
「全パーティーってそっちの意味だったんですか?」
「ギルドとしては一刻も早く各町や村に冒険者を派遣しなくてはいけないからね」
「ミヨモ、ジャン、急いでくれ」
ニラダ達の想定以上にギルドが迅速に動いており、逆にミヨモやジャンが間に合うのか不安になってしまう。
その一方でミヨモ達は急いで移動するが、途中でジャンがある事に気付き、足を止める。
「どうしたのジャンさん、急がないと間に合わなくなるよ」
「いや、よく考えたら俺がひとっ走りでお前の杖も受け取れば早く戻れるし、最悪の場合俺だけではく奪はすむんじゃないのか?」
「ジャンさん、……ダメだよ、魔法使いにとっては杖は命だし、へたな動きをすれば杖にどんな影響があるか分からないもの」
「魔法の杖っていうのはそんな繊細なのか」
「うん、持ち主の魔力と同調して初めて杖が完成するっていってもいいの、他の人にとってはただの魔力が込められた棒に過ぎないんだよ」
ミヨモの魔法の杖に対する主張を聞いて、改めてジャンも決意を口にする。
「それじゃあ、ミヨモが最初に杖に触れないとダメだな、悪かった急ごう」
「うん!」
ミヨモとジャンは改めて走り出し、どうにかドットの工房にたどり着く。
「はあ、はあ、着いたな」
「はあ、はあ、はあ、そうだね、ドットさんいますか?」
ミヨモとジャンの声を聞いてドットが姿を見せる。装備品は完成したのか?
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