魔力耐性

 ゲンが冒険者嫌い、そして武器作りができなくなった状況からニラダはアビジンを自分の剣に加えてもらうのをあきらめざるを得ないと思ったが、カールよりあきらめるのはまだ早いと言われてニラダはカールに尋ね返す。


「待ってください、ゲンさんは冒険者嫌いなうえにケガが原因でもう武器は作れなくなったんじゃないんですか?」

「その、アビジンの事なら僕に任せてもらってもいいですか?」

「え?カールさんアビジンを扱えるんですか?」

「ちょ、ちょっと待ってくれ、アビジンは鍛冶の腕とは別に扱う為の技術がないとダメなんじゃないのか?」


 カールは自らにアビジンを任せて欲しいとニラダに訴えるがジャンは特殊な技術がないと無理ではないかと主張するが、その疑問にカールが返答をする。


「実はその勇者の剣を扱っている時に、僕は生まれつき魔力耐性が強いという理由でかなりの部分を手伝うように言われて、その扱いについては自信があるんですよ」

「そうか!何故特定の人でないとアビジンが上手く扱えないかが分かったぞ」

「ええ、生まれつきの魔力耐性とそれを扱う為の鍛冶技術が必要だったわけね」

「でも魔力に対する対策をしていたら大丈夫なんじゃないの?」


 ニラダやティアはアビジンを扱うには生まれつきの魔力耐性、そして鍛冶技術の高さが必要だと認識するが、ミヨモは魔力に対する対策をしていれば魔力に害されないので大丈夫なのではと主張するがその疑問にもカールが返答をする。


「何かしらの装備をしてしまうとそれが負担になり思い切った鍛冶ができないという側面があって兄弟子たちはそこに困っていましたね」

「なるほどな、ドットの旦那がアビジンを上手く扱えないのも腕だけの問題じゃなかったのか」

「ええ、親方も言ってましたが、ドットさんは世界でも有数の鍛冶の腕前を誇っていますよ」

「おじさん、やっぱりすごい人なんだな」

「ええ、ニラダさん、ちょっとニラダさんの剣とアビジンを見せてもらってもいいですか?」

「はい」


 ニラダは自分の剣とギガングの鎧より手に入れたアビジンをカールに渡し、カールはその剣とアビジンをじっくり見て細かいところを確認して、確認を終えるとニラダに告げる。


「ニラダさん、アビジンを剣に組み込むとなると簡単な話ではなく、別で道具や材料が必要なので僕の家では無理ですね」

「そうですか、いえ、俺達の為に何かしようとしてくれたお気持ちだけでもう十分です」

「何を言ってるんですか、うちの工房ならできますよ」

「ええ!でもゲンさんが許さないんじゃあ」

「僕が説得します!」


 ゲンの説得を試みると宣言するカール、果たしてうまくいくのか?

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