パックの街で

様々な気持ちを抱えながらも、パックの街に到着したニラダ達『成長しあう者達』はまずはゴーンの工房に向かう事としたのだ。


「とりあえずおじさんに渡された地図によるとこっちの方のようだな」

「だけどよドットの旦那が修行していたのも何十年も前の話だよな、師匠が生きていたとしてそこに工房があるとは限らないんじゃないのか」

「それを言ってしまえば既にこの街からも出ているかもしれないしな、とりあえず手掛かりはこれしかないし行くしかないな」

「まあ、行くだけ行ってみるか」


 とりあえずニラダ達はドットより渡された地図に沿って工房を目指すが、その地図に書かれた地点に到着すると意外なものが建っていた。


「これは⁉」

「食べ物屋さん⁉」

「工房は?どうなったの?」

「もしかして師匠鍛冶師を辞めて料理人にでもなったのか?」


 工房が建っているはずの地点に飲食店が建っている事に戸惑うが、とりあえずニラダは店内に入るよう一同に促す。


「とりあえず中に入ってみよう、店の人なら何か知っているかもしれない」


 ニラダがそう言って店に入ると店主らしき男がニラダ達に声をかける。


「いらっしゃい!うーーんお客さん4名かな?空いてる席に座って……」

「あの、俺達実は聞きたい事があるんです」

「聞きたい事?今忙しいし、うちに来たんなら食べて待ってくれるかな」


 ニラダ達はちょうど昼時に店に来て、今現在店内は慌ただしかったので店主は聞く暇がない事を告げ、とりあえずニラダ達に席で食事をしながら待つよう促す。


「ニラダ、とりあえずお食事はいただきましょう、見たところあの店主さんはドットさんより若そうだしゴーンさんとは思えないわ」

「そうだな、ゲンさんにしてもおじさんとそう年は変わらないはずだしな」

「すいません、私達席に着きますので」


 ティアが店主にそう告げるとニラダ達はテーブルに着き、食事の注文をしながら店の客の流れが途切れるのを待つ。


「それにしても結構繁盛しているよね、まあご飯は美味しいから分かるんだけど」

「しかし、ゴーンさんや工房は一体どうなってしまったんだろう?」

「まあ確かなのは少なくとも親父の方はこの街では鍛冶師をやっていねえって事だな」

「それならせめて何かしら手掛かりは欲しいところだな」

「ニラダ君、だいぶお客さん減って来たしもう少ししたら店主さんにお話を聞いてみようよ」

「ああ、ゴーンさん、そしてゲンさんに何があったかを知らないとな」


 パックの街に来たニラダ達に待っていたのは工房ではなく料理店であった、果たしてゴーン親子の行方は?

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