村への到着

 デデンの街からデグの村までの最大の難所であった魔物が生息する山を無事に抜ける事に成功したニラダ達は、いよいよデグの村まであと少しという所まで迫っていた。


「ニラダ君、もうすぐデグの村に着くのかな?」

「地図によるとあと少しだ、山を抜ければ危険は少ないし、このまま無事到着できるはずだ」

「良かったーーー、山の魔物はニラダ君とケンさんがたくさん引き付けてくれたから食料は奪われなくてすんだよ」

「ああ、そうだ!ケンさんから聞いたんだけど……」


 ニラダは魔物の一団が一斉に襲い掛かってきた理由として一気に大人数で入山し、魔物達の危機感をあおった事が原因なのではないかという事を仲間に話した。


「確かにその可能性はあるわね、ニラダ達が引き付けている間にそれほど多く魔物と遭遇しなかったもの」

「ああ、あの大きな一団を撒いてからは、俺達も少数の魔物としか遭遇しなかったしな」

「じゃあ、帰りは1パーティーずつで入山すっか、それなら多くの魔物に襲われる心配はないんだろう」

「いいえ、あくまで可能性の話だし、帰りも固まって入山しましょう、食料を守らなくていい分、全員で戦えばそれほどの脅威じゃあなさそうだし」


 ティアはあくまでも可能性の問題であると考慮し、帰りは食料を守る任務がない分、全力で撃退できると判断し、固まっての移動を提案する。


 そんな中、先頭の馬車からリンダの声がする。


「ねえみんな!村が見えて来たけど、あれじゃないの?」


 リンダの声が聞こえたニラダは地図を確認してからリンダに返答をする。


「間違いありません、その村がデグの村です!」

「よし、じゃあ早く行くよ!」


 リンダがそう呼びかけ、他の馬車もリンダ達の馬車に続き、村に到着する。


 村に到着するとまずはニラダが入り口付近の村人に声をかける。


「あのすいません、こちらはデグの村ですよね?」

「そうじゃが、お前さん達は?」

「我々はデデンの街に所属している冒険者です。クエストで皆さんに食料を届けに参りました」

「な、なんじゃと⁉ちょっと待っておれ、村長を呼んでくる!」


 村人は村長を呼んでくると言って、一度その場から離れ、少し時間が経過すると村人が村長らしき老人と共に戻ってきた。


「おお、よくぞ来てくださった!わしがこのデグの村の村長ですじゃ」

「我々はデデンの街に所属している冒険者です。こちらが皆さんの為の食料です」

「おお、これは……」

「早速ですが、炊き出しもするので、村人を集めていただきますか」


どうにか無事村に到着したニラダ達、早速炊き出しの準備を始めるのであった。

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