新しいクエスト

 ニラダの昔なじみである鍛冶師ドットより新しい装備を制作してもらい受け取ったニラダ達はドットの工房をあとにし、今後の方針について話しながら歩いていた。


「みんな、そろそろ他の街のクエストを受けてみないか、今ならアイテムも大量に買えるし、他の街での宿泊代も十分なはずだ」

「うん、せっかくランクが上がったんだし、1度どんな感じか試す意味でも受けた方がいいと思うな」

「俺もいいと思うぜ」

「そうね、1度どんなクエストがあるか見せてもらうだけでもいいかもしれないわ」


 全員がそろそろ他の街でのクエストを受けた方がいいのではないかという考えが一致し、ティアの提案でまずはどんなクエストがあるかを確認する為に一同はギルドまで向かう。


 ギルドに到着すると、まずニラダが受付に向かい、受付嬢に声をかける。


「こんにちは、すいません、『成長しあう者達』が今受けられるクエストを見せてもらってもいいですか?」

「はい、こちらがリストになります」

「ありがとうございます」


 そう言って、ニラダはリストを受け取り、仲間達がテーブルに座って待っていたため、リストを手分けして確認し、どういうクエストがいいかを話し合う。


「やっぱり基本的なクエストはここと同じで、ダンジョン探索や薬草採取、魔物退治と言ったところか」

「それも良いけど、せっかく別の街でのクエストだし、他になんかないか?」

「そうだな……」


 基本的なクエストはあまり変わらないが、どうせなら他に何かないかと考えながらニラダ達は探していると、その時にミヨモがあるクエストが気になり、それをニラダ達に告げる。


「ねえねえ、みんなこれなんていいんじゃない?」

「どれどれ、『洪水被害の村に食料を届ける:ビクの村が洪水にあい、現在復興作業が進んでいるが、村人並びに復興作業員が十分食事を摂れていないので、食事の運搬と炊き出しを行う』」

「ちょっと待てよ、普通こういうのは領主が自分の部下を派遣するなりしてやるものじゃないのか、こういうのも冒険者の仕事なのか?」

「人手は多いに越したことがないのよ。それ冒険者って体力や身体能力はずば抜けているし、野営も得意者が多いし、炊き出しももってこいなのよ」


 今までにないクエストにジャンは戸惑いながらもティアに諭される、そんな中受けるべきかどうか考え込むニラダにミヨモが話しかける。


「ねえ、ニラダ君受けてみようよ、今のままじゃ復興が遅れる村があるんだよ」

「……分かった、このクエストを受けよう」


 Cランクパーティーになった『成長しあう者達』にとって初のクエストは食料配給である。果たして?

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