お祝い会参加許可

 ニラダ達が魔石や武器を盗まれた冒険者達に返そうとすると、その場にデデンの街のギルド長であるカーリソンが現れ、自ら取り返そうとする気概を見せなかった事を理由に、魔石の一部を謝礼として渡すよう告げる。


 こうしてニラダ達『成長しあう者達』は緊急クエストの報酬に更に収入が上乗せされた形である。


 その後貢献度の高かったニラダ達に次いでクエストに参加していたパーティーにも報酬が貢献度に応じて分配されたのだ。


 報酬の分配を終えると受付嬢より冒険者達に感謝の意が伝えられた。


「緊急クエスト『潜む盗賊団』の達成ありがとうございます。これで当ギルドとしましても冒険者の皆様に安心してクエストを提供できます。本当にありがとうございました。ささやかですが、クエスト達成のお祝い会を開かせていただきます」


 クエスト達成のお祝い会と聞いて疑問が浮かんだミヨモがニラダに尋ねる。


「クエスト達成お祝い会?ニラダ君いつものクエストじゃあないよね」

「緊急クエスト達成時には開かれることになっているんだ」

「ええ、冒険者に対するねぎらいって意味でね、今回は特に冒険者の活動に大きく制限がかかったから、その状態から解放してくれたって意味でね」

「そうなんだ、すごいね」


 ニラダとティアの説明にミヨモが感心しているとジャンがニラダ達に尋ねる。


「このお祝い会とやらには俺も参加していいのか?」

「ちょっと待ってくれ、受付に聞いてくる」


 そう言ってニラダは受付所の元に行き、ジャンのお祝い会への参加が可能かを尋ねる。


「すいません、彼を、ジャン殿をお祝い会に参加させても大丈夫ですか?彼の助けもクエスト達成には大きかったので」

「本来は冒険者の皆様へのねぎらいなのですが……、ギルド長いかがなさいますか?」


 ニラダの懇願で判断に困った受付嬢はギルド長であるカーリソンに判断を仰ぎ、その事についてカーリソンは返答をする。


「いいだろう、その盗賊専門の盗賊の男は自らも勇敢に戦ったし、祝ってもらう資格はあるだろう」

「ありがとうございます」

「どうも……」


 ニラダとジャンからお礼を言われるとカーリソンはニラダを見て、言葉を発する。


「お前が『成長しあう者達』のリーダーのニラダか、冒険者になりたてでリーダーとはな」

「ああ……それは……」

「まあ、それは言うな。それから本来パーティー間でいさかいがない限り我らギルドの者、まして長であるわしがパーティー間の事に口を出すのはご法度だが今回のケースはあまりにあの者達にとって虫が良すぎたから思わず口を出したが余計な事だったか?」

「いえ、ギルド長がそう判断されたのなら自分達は従うまでです。ギルドあっての我々なのですから」

「ニラダよ、わしは少し違うと思うがな」


 ギルドあっての自分達冒険者と発言するニラダにまた別の意見を述べようとするカーリソンの考えとは?

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