嫌味な冒険者

 ニラダは昔なじみの鍛冶師であるドットに3つの武器、剣、槍、弓の制作を依頼し、それらは完成し、ニラダは臨戦態勢にすぐに入れるという理由で剣を腰に携え、槍と弓はマジックボックスに収納し、必要に応じて出す事としたのだ。


 もっとも、弓を扱うにはまだ矢がないので実質的には当面剣と槍のみで戦う事となる。


「しかし、ローブに剣っていうのはなんかおかしく感じるな、この際だし、鎧に装備を変えるのも考えたらどうだ?」

「ローブには一応魔力を高めたり魔力量の消費を抑える効果もあるし、ローブは魔法使いにとって重要さ」

「まあ、そうだよな、またいい素材を見つけたらローブも強化してやるぜ」

「ありがとう、それじゃあ次のクエストを受けてくるよ」


 そう言ってニラダは新たなるクエストを求めて冒険者ギルドに向かった。


 剣を携えて現れたニラダにギルドの職員、そして冒険者達は物珍しそうにニラダを目にするが、そんな時、2人組の男がニラダに声をかける。


「よう、お前か補助魔法しか使えなくてあっちこっちのパーティーから加入を断られたニラダって魔法使いは」

「それで悔しくって剣なんて持つことにしたのか泣けるねえ」


 ニラダの噂を聞いて、あからさまな嫌味を言ってくる2人組の冒険者らしき男達に対しニラダは返事をする。


「剣を持ったのは護身のためだ、心配してくれてありがとう」

「……へっ、強がりやがってよ!」

「まあせえぜえ、雑魚の魔物狩りでもやってチマチマ稼いでいろ、俺たちゃもっとでっかいクエストで稼いでいるからよ」


 さすがのニラダも頭にきたが精一杯の皮肉で返答をするも、単なる強がりにしか相手には聞こえなかったようでよりニラダを煽るような発言をしたのだ。


 ニラダも内心怒り心頭だがこの怒りはクエストでぶつける事にした。


「すいません、何かクエストはありますか⁉」

「二、ニラダさん少しお顔が怖いんですが」

「こういう顔なもんでね」

「あの人達は大きな口は叩いていますが、自分達がなかなかランクが上がらない憂さを晴らしているだけなのでお気になさらずに」


 ニラダに突っかかった2人組の冒険者は威勢こそいいが、ランクが上昇せず、まだ格下なうえソロ活動をしているニラダに対して嫌味を言って憂さ晴らしをしているに過ぎないのだ。それを聞いたニラダはある事を思いつき受付嬢に告げる。


「それじゃああいつらが今挑戦できるクエストを俺に紹介してもらえますか!」

「申し訳ありません、さすがにニラダさんにまだあの人達と同ランクは紹介できません」

「それじゃああいつらの鼻を明かせない!どうにかなりませんか?」

「それなら合同クエストというのはいかがですか?」


 受付嬢が口にした合同クエストとは果たして?

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