春雷響く
私が仕える
吹けば消える蝋燭の灯が如く。
天蓋に瞬く
その儚さは目が離せない危うさを孕んでおりました。
さすれば片時も離れずにはおれません。
今日も今日とて春雷の轟きに大層驚かれた
私がお傍にいなければ、倒れた拍子に
「……んん」
膝枕の上で閉じられた
「お目覚めになられましたか」
「喉が渇きますの」
水を注いだグラスを
喉を小さく鳴らしながらゆっくりと水を飲む様は、食欲旺盛なひな鳥を思わせます。
「もう日は暮れてしまったのね」
眉を下げ
それもそのはず。
昼にあった来客者と会うのを楽しみにされておりました。
旦那様が得意の客とされる調香師の女。
その調香師はすこぶる弁が立ち、暇を持て余す貴族たちは懇意とします。例に漏れず
調香師の振りまく妖艶な色香を感じさせる振る舞いが
気がかりが一つある。
調香師とお会いになられる時に限って、
この片時に何が行われているのやら…………。
「ところでお食事はどうなさいますか」
脳理にふとよぎった無粋な詮索心を追いやり
時を同じくして振り子時計が鐘を幾度か鳴らして、夜の深さを告げます。
「結構よ」
「
「もう下がりなさいなダフネ。私に付きっきりだったのでしょう。
「お気遣い感謝いたします」
恥ずべき醜態に全身の血が駆け巡り赤面を禁じ得ません。
たまらず私は寝室から退散します。
猛省せねば。
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