恋愛、かくあれかし
はる
可奈の場合
第1話
全く、私ときたらつくづく男運がない。一人目の彼氏は私の体にしか興味がなかった。二人目は私を崇拝ばかりしていた。三人目は、私をコントロールしようとした。どいつもこいつも一癖も二癖もある男ばかりだった。
そう友達の愛に言うと、愛は向かいでオレンジュースをかき回しながら「そりゃそうでしょ」と言った。
「だって可奈、変な奴好きじゃん」
「好きってわけじゃ……う〜ん」
「否定できないんでしょ」
だいたいさぁ、と愛は続ける。
「可奈は都合のいい女でいたいフシがあるからなぁ。自分はモテるって内心自信があって、それを貫徹したいから自ら都合のいい女像に寄せていくというか」
「……それって、ほんとは自信ないんじゃん?」
「自分には自信ないよねぇ。でも自分のポテンシャルには自信がある、というか、自分はモテるはずだという信念を揺るがせたくないから、むりやりモテに行ってるというか」
「そうかもしれない……」
「もう無理に恋愛するのはやめなよ。実ないよ」
「確かにねぇ」
愛はきりりとした瞳を私にもの柔らかく向けて、ため息をついた。
「といっても、したいのがあんたでしょ」
「うん……恋愛したい……最高にエキサイティングな……」
「その刺激を求めすぎるのかあんたの癖よね。だから癖のある男を求める」
全く否定できない。それが私だと、私も思った。私はコーラを飲み干した。昼間に入り浸るファミレスは安上がりでいい。
私は愛に言っていないことがあった。私はまだ処女なのだ。三人目とはペッティングまではしたが、挿入はしていない。理由は怖いから。妊娠とか性病とか。それに、私は密かに、本当に好きな相手とだけそういうことがしたいのだ。つまり、今までの相手のことは本当の意味では好きではなかった。好きでいてくれたからその好意に応えていたにすぎない。あ〜あ、このまま一生処女でもいいかも。貫き通そうかなぁ。そんなことを思いながら、私はジュースを汲みにいった。
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