第2話 モーニングコールは継続が大事です!
【場面転換、翌日、
(目覚ましのアラーム音)
藤吉「うーん……あと五分だけ、寝かせてくれぇ……」
(スマホの着信音が鳴る)
藤吉「んぁ……? 誰だよ……こんな朝っぱらから電話してくるやつは……。もしもし?(寝ぼけながら電話に出る)」
藤吉「……っうおぉ……(
星見『あれ? もしもし? 聞こえてますか?』
藤吉「あー……聞こえてるよ……。ていうか、電話なんだからもう少し声量落としてくれ……」
星見『あ、すみませぇん! ついうっかり……』
藤吉「まったく……朝から元気だな……」
星見『えへへ~♪ 褒められちゃいましたぁ(嬉しそうに)』
藤吉「褒めてないって……それで? 何か用があってかけてきたんじゃないの?」
星見『え? それならもう済みましたよ!』
藤吉「ん? どういうこと?」
星見『だからぁ、モーニングコールです! これからは毎日、わたしがフジヨシさんを起こしてあげますね!(自信満々に)』
藤吉「……いやいやいや、ちょっと待て! なんでそうなるんだ!?」
藤吉(心の声)「知り合ったばかりの女の子に毎朝起こされるなんて、さすがに勘弁してくれ……」
星見『だって、フジヨシさんって寝起きが悪そうだし、心配だから……。それに、わたしは早起きだし、ちょうどいいかなーって(無邪気に)』
藤吉「いやいや……人をダメ人間みたいに言わないでくれ……」
星見『とにかく決まりましたからねぇ~! また明日もかけますんで、ちゃんと起きてくださいね! それでは、失礼しま~す!(元気よく
藤吉「あ、ちょっと待っ……切れたし……。まあ、いいか……。そのうち飽きるだろうしな……。ふぁ~あ……二度寝するか……」
藤吉(モノローグ)「この時の俺は、まさか本当に毎朝電話をかけてくるなんて思わなかったんだ……」
【更に翌朝、藤吉の部屋】
(スマホの着信音が鳴る)
藤吉「くぁ……誰からだ? げっ、星見さんからじゃん……。出ないわけにもいかないよなぁ……(嫌々通話ボタンを押す)もしもし?」
星見『あっ、フジヨシさん! おはようございます! 今日もいい天気ですね!(明るく)』
藤吉「おはよう……。てか、朝からよくそんなテンション上げられるな……。こっちはまだ眠いっていうのに……」
星見『何言ってるんですかぁ~! 朝は元気な方が気持ちいいじゃないですかぁ~!(楽しげに)』
藤吉「……そうかねぇ」
星見『そうですよぉ~! フジヨシさんも、もっとシャキッとしましょうよぉ~!(励ますように)』
藤吉「……はいはい、努力しますよ」
星見『むぅ~! そんなテキトーな態度じゃダメですよぉ! ……あっ、そうだ! 明日また電話しますから、その時は今日より元気に出てくださいね! それじゃあまた~!』
(一方的に電話が切れる)
藤吉「はぁぁ……相変わらず台風みたいな子だなぁ……。それにしても、『また電話する』って……マジかよ……。まいったなぁ……」
【翌朝、藤吉の部屋】
(スマホの着信音が鳴る)
藤吉「ふぁ……またこんな時間にかけてくるのかよ……。どんだけ早起きなんだあの子は……(眠そうに)」
(通話ボタンを押す)
星見『あ、やっと出ましたね! もう、遅いですよフジヨシさん!』
藤吉「悪い悪い……寝てたんだよ……。ふわぁ~あ……(あくびをする)」
星見『あーっ! ダメじゃないですかぁ! 昨日言いましたよね? もっと元気に出てくださいって!』
藤吉「いやぁ……それはそうなんだけどさ……さすがにこの時間はきついっていうか……」
星見『言い訳しないでください! ほら、もう一度やり直しますよ!』
藤吉「いや、もう一度って何だよ……。そもそも何をやり直すっていうんだ……?」
星見『決まってるじゃないですかぁ! 朝の挨拶ですよ! わたしがまた電話をかけるので、次はちゃんと出てくださいね!(念を押すように)では、切りますよ!(電話を切る)』
藤吉(心の声)「えぇ……マジかぁ……。ていうか、何で怒られなきゃならないんだ……?」
(数分後、再びスマホの着信音が鳴る)
藤吉(心の声)「来た……。元気良く出ればいいんだよな? ……てか、元気良くって何なんだよ!? くそっ、考えててもしょうがない……! こうなったら出たとこ勝負だ……!(通話ボタンを押す)」
藤吉「あー……もしもし……? 星見さん?」
星見『はい、おはようございます! フジヨシさん!(明るい声で)』
藤吉「お、おう……おはよう……」
星見『……元気ですかぁ?(疑い深そうに)』
藤吉「そ、そりゃあもちろん……! めっちゃ元気だよ……!」
星見『本当ですかぁ? 怪しいなぁ……』
藤吉「本当だって……! あー今日も良い天気だなぁー!(わざとらしく)」
藤吉(心の声)「……少しわざとらしすぎたか……? いや、でもこれ以上どうしろって言うんだよ……!」
星見『むぅ……まあ良しとしましょう! 合格です!』
藤吉(心の声)「ほっ……良かった……」
星見『それじゃあ、また明日もモーニングコールしますからね! 約束ですよ!(念押しするように)』
藤吉「え……明日もなのか……? いや、あのさぁ……さすがに毎日っていうのはちょっと……」
星見『ダメですよ! こういうのは継続が大事なんですから!(きっぱりと)』
藤吉「うーん……でもなぁ……」
星見『もうっ! そんな弱気じゃダメですよぉ~! それじゃあ、また明日~!(一方的に電話を切る)』
藤吉「あ、おい! ちょっと待っ……切れちゃったし……。やれやれ……」
藤吉(モノローグ)「こんな調子で、毎朝星見さんから電話が来るようになってしまったわけなんだが……。何度かやり取りを繰り返すうちに、俺は電話が来る前に起きられるようになってしまった。習慣というものは恐ろしいものだが、星見さんのおかげで早起きできるようになったことは事実だった。良いこともあるもんだなぁと思っていたんだが……友達になってから十日ほど経ったある日のこと、事件は起きたんだ……」
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