ハーフエイリアンの星見さんは、地球人と仲良くなりたいらしい。
夜桜くらは
第1話 お隣さんはハーフエイリアン
【アパートの一室(藤吉の部屋)】
藤吉(心の声)「あー……平和だ……。やっぱりいいなぁ。こういう何気ない日常ってのは。毎日が平穏で、何も起こらずにただ時間が過ぎてくだけなんて最高だよな……(ソファに寝転がりながら)」
藤吉(心の声)「でも、こう平和だと退屈っていうか……少しくらい刺激があっても……。……って、いやいや、何を考えてるんだ俺は! 平穏が一番じゃないか!」
(インターホンを鳴らす音「ピンポーン」)
藤吉(心の声)「ん? 誰だ? 俺、何か頼んでたっけ?」
藤吉(心の声)「……え? 女の子? どういうこと?」
星見『ごめんなさーい』
藤吉(心の声)「いやいや、そこは『ごめんください』だろ……。じゃなくて! どうしよう……。居留守を使うべきか、それとも出て行った方がいいのか……」
星見『いないのかなぁ……(残念そうに)』
藤吉(心の声)「うわぁ、なんかすげぇ罪悪感があるんだけど……。仕方ない、出るか……」
【部屋前】
(ドアを開ける音)
藤吉「はい、どちら様でしょうか?」
星見「あ、よかった。いたんですね!」
藤吉(心の声)「ずいぶん小柄だな……中学生か?」
藤吉「えっと……君は?」
星見「あっ、わたしの名前は『
藤吉「……はい? オリアン? それ本名?」
星見「もちろんです! かわいい名前でしょう? ちなみにパパが日本人で、ママが宇宙人です!」
藤吉「へー……日本人と宇宙人のハーフかぁ……。って、宇宙人!?」
星見「そーですよぉ! ママはシャイン星人です! とっても美人なんですよ!」
藤吉「あぁ……そういうキャラね……(小声で)」
藤吉(心の声)「うわぁ……出なけりゃ良かったかも……。まあ、ここまで来たら仕方ないか……。適当に話を合わせて、さっさと帰ってもらおう」
星見「むぅ……キャラじゃないですよぉ! わたしは真面目に言ってるんですからね!(頬を膨らませて)」
藤吉「あー、はいはい……。それで? 君は何しに来たの?」
星見「あ、そうでした! わたし、お隣に越して来たので
藤吉「……はい?」
星見「だから、お隣さんです! あなたの……あ、お名前まだ聞いてませんでしたね! 教えてください!」
藤吉「えっと……俺の名前は『藤吉海成』だけど……」
星見「フジヨシカイセー……ふむふむ、覚えましたよ! よろしくお願いしますね、フジヨシさん!(ニッコリ笑って手を差し出す)」
藤吉「あ……うん。よろしく……(引きつった笑顔で握手する)」
星見「えへへ……それじゃあ早速なんですけど、わたしとお友達になってください!」
藤吉「はいぃ!?」
星見「ダメですかぁ……?(残念そうに)」
藤吉「えぇ……いきなり言われても困るんだけど……。てか、そもそもどうして俺なんかと仲良くなりたいんだ?」
星見「だって、『お隣さんとは友好な関係を築くべきだ』ってパパに教わったから……」
藤吉「それは、そうかもだけど……」
星見「フジヨシさんは、わたしみたいな子と友達になるのは嫌ですか……?」
藤吉「うっ……別に嫌なわけじゃないけどさぁ……。君、まだ子供だろ? あんまり大人をからかうもんじゃないよ」
星見「むぅぅ……! バカにしないでくださいっ! わたしだって立派なレディなんですから!」
藤吉「いや、レディって……。君いくつだよ?」
星見「ふふん! わたしは今年でハタチになったんですよぉ!(ドヤ顔で)」
藤吉「いやいや、冗談でしょ……?」
星見「本当ですよぉ! ほら!(免許証を見せる)」
藤吉「……マジか」
星見「だから言ったじゃないですかぁ!」
藤吉「いや、ごめん……。正直言って驚いた。背は低いし、声も高いから中学生くらいだと思ってた」
星見「ひどいぃ~!!(ぷんすか怒って)」
藤吉「ごめんって……(苦笑)」
星見「もういいですもん! こうなったら実力行使です! えい!(抱きついてくる)」
藤吉「ちょ、おい! やめろって……!」
星見「やですぅ~! お友達にしてくれるまで離しません~!」
藤吉(心の声)「うおわぁ!? なんで急にこんなことに……!!(パニック状態)」
星見「むぅ~~!!」
藤吉(心の声)「くそう……こんな小さな身体なのにすごい力だ……! 振りほどけないぞ……!」
星見「うぅ~~~!!!(さらに強く抱きつく)」
藤吉「あぁもうわかった! わかったから! もう降参するから!」
星見「(嬉しそうに顔を上げて)ほんとですか!?」
藤吉「本当だってば! ていうか、これじゃあ俺が悪者みたいじゃないか……」
星見「やったぁ! それじゃあ、今日からわたしたちは友達ですね!(満面の笑みで)」
藤吉(心の声)「あぁ……やっぱり俺はこういう運命なのか……。いや、そんなのは嫌だぁあ!」
藤吉「あー……あのさ、友達になるのは良いんだけど……。その、期限付きでお願いできないかな?」
星見「え? どういうことですか?」
藤吉「つまり、とりあえず一週間だけってことでどうだろうかってことなんだけど……」
星見「えー! そんなのイヤですよぉ! 短すぎます!」
藤吉「そこをなんとか頼むよ。俺にだってプライベートがあるわけだしさ……」
星見「むぅぅー! でも、確かにそうですね……。うーん……わかりました! じゃあ、一ヶ月ならいいですよ!」
藤吉「えっ!? いや、さすがにそんなには……」
星見「ダメですぅ! これ以上は
藤吉「わ、わかったよ……。それでいいから……」
星見「えへへ、ありがとうございます♪ あ、そうだ! 連絡先交換しましょ! スマホ出してくださーい!」
藤吉「えぇ……? 一ヶ月だけなんだし、わざわざ交換しなくても良くないか?」
星見「なんでそんな寂しいこと言うんですかぁ~! お友達なんだから、期限があってもなくても関係ないじゃないですかぁ~!」
藤吉「……はぁ、そうですか」
星見「はい、お願いしまぁす♪」
藤吉「……はい(しぶしぶスマホを取り出す)」
星見「えへへぇ~♪(嬉しそうにスマホを操作する)はい、これでオッケーですよ!(画面を見せて)」
藤吉「ああ、どうも……」
星見「ふふ~ん♪ これからよろしくお願いしますね! それじゃ、また遊びに来ますね! さようなら~!」
藤吉「あぁ、うん……さよなら……」
(ドアが閉まる音)
藤吉(心の声)「嵐のような子だったな……。急に押しかけてきたと思ったら、今度は友達になれだなんて……。はぁ……先が思いやられるなぁ……」
藤吉(モノローグ)「こうして俺は、星見さんと一ヶ月限りの友達になったわけだが……。彼女のおかげで、俺の平凡な日常は大きく変わってしまったんだ……」
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