製作魔法の術師
トマトも柄
第1話 製作魔法の術師
一人の女の子がせっせと何かを作っていました。
腕、足、胴体、顔とどんどんと組み立てていきます。
そして、それぞれのを組み合わせて最後に魔法の液体でつなぎ目を合わせて塗っていきます。
そして、しばらくその液体が乾燥するまで乾かします。
そして、数日が経った後で女の子が作った人形が徐々に動き出すのを確認してから女の子は頷く。
「やっちゃー! できちゃー!」
女の子は動く人形を見て盛大に喜んでいる。
すると、人形が話し出し、
「え…と。 ワタシは?」
「私が作ったの! 自由に動けるか確認してみて?」
そこで人形は手を動かし、足を動かし、色々な箇所が動けるか確認する。
「大丈夫です」
「良かったー! 大丈夫そうね!」
人形が動いてるのを見てキャッキャキャッキャと女の子は喜んでいる。
「あの……」
「どうしたの?」
「ワタシに名前ってあるのです?」
「自分で決めて♪」
人形の質問に女の子は笑顔で返す。
「え……けど、良いのですか? マスター」
人形にマスターと言われて女の子は少しムスッとしている。
「私の事はママと呼んで!」
「え……あ……分かりました。 ママ」
人形は驚きながらママと言い直す。
すると女の子は笑顔になり、うんうんと頷く。
「名前を自分で決めていいってのは?」
「言ったそのままの意味よ。 名前は自分で意味を込めて付けるのが大事だと思ってるから」
そうすると、女の子はリュックを背負い、外に向かおうとしています。
「じゃあ出かけましょうか! 服はそこに置いてるからそれ着てね。 サイズ合うと思うから」
「どこに向かうのです?」
「名前決めとやりたい事を見つけに」
二人は街中に出て色々散策している。
「おお! ママさん!」
体のたくましいお兄さんが女の子に話しかける。
「あの時にこっちに送ってくれた人形凄い助かってるよ! ありがとう!」
「いえいえ。 あの子が決めた事ですから。 お役に立ててるようでなによりです」
するとお兄さんの後ろから重い荷物を持った人がやってきた。
「ママさんではないですか。 ご無沙汰しております」
「元気してるー?」
「はい! とても! 周りの人も皆良い人ですし、色々教えて貰って凄く助かっておりますよ」
そこで荷物を持った男の人は女の子の後ろの人形に気付きます。
「その子は?」
「新しい家族!」
女の子が勢いよく答えます。
すると、男の人が人形に話しかける。
人形が少し怖がっているが、安心するように話しかけた。
「そんな怖がらなくて大丈夫だ。 俺も人形だ」
人形は男の人の話を聞いて驚く。
「恐らくママさんから名前決めとやりたい事見つけに行こうって言われて街に出て来たんだろ? 俺もそうだった。 それでこれに決めたんだよ」
人形はそれでもまだ迷っている様子だ。
「じっくり考えたら良いぞ。 自分のこれからの事なんだからな。 やりたい事見つけたら良いさ」
そう話していると、女の子が次行くように催促で肘でつついてくる。
「あ、そろそろ」
人形が言うと、
「おう! 頑張れよ!」
人形と女の子はその場を後にした。
そして、女の子と人形は様々な場所に行った。
コンサート、役場、遊び場など色々見て回った。
けれど、人形がピンと来そうなのはそこまで無かった。
そこで、女の子が公園で一休みしようという事で公園で休むことにした。
「はい!」
そこで女の子はソフトクリームを人形に渡した。
人形はどうすれば良いのか分からず、女の子の素振りを見ていた。
女の子はソフトクリームを頬張り、笑顔を膨らませている。
「美味しい~!」
女の子は笑顔になりながらもう一口頬張る。
人形も同じようにソフトクリームを頬張る。
そして、頬張った後でソフトクリームを眺めていた。
「やりたい事、見つけた」
「え!? ほんと!?」
人形の言った事に女の子が驚く。
「この食べ物作っていきたい」
「決めたのね! 良かった! 理由聞いても良い?」
そこで人形は一呼吸置いて答えた。
「笑顔が見たい。 これを作ると皆の笑顔が見れるような気がする」
「なるほど!」
「それで名前なんだけど皆に呼んで欲しいという意味も込めてオイシって名乗りたい」
「じゃあそれで行こう! 手配するね!」
そこから数日が経過して、ソフトクリーム屋で働くオイシの姿がいる。
みんなに笑顔を運んでとても幸せそうにしている。
「良い笑顔になってるね」
女の子は遠くから見てそのまま帰っていきます。
「私ができるのは最初のちょっとしたお手伝いだけ。 後は自分でやりたい事をどんどん見つけていったら良いの。 きっと私の知らない世界を教えてくれるって思ってるよ。 今度色々教えてね。 きっと楽しい話が出来ると思うから」
女の子は帰っていきますが、表情は笑顔で満たされていました。
製作魔法の術師 トマトも柄 @lazily
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