私は改造人間だったことが判明した

筆開紙閉

第1話

 放課後の校舎は崩壊し、炎と夕焼けと血で全ての風景が真っ赤になっていた。

 ほぼほぼ全ての生徒や職員は死ぬほど引き裂かれている。そして私もだいぶ死にそうになっている。

 校舎の三階から叩き落されて、下半身は動かない。足や背骨を骨折したっぽい。死にそうだけど何処か他人事のように感じている。グラウンドの上で特に打ち解けることのできなかった同級生たちと血溜まりの中一つになっている。

 そうしていると私の唯一の友人が近づいてきた。私にトドメを刺すつもりかしら。

「ミクちゃん」

 三つ編みでメガネの友人、紫龍鏡シリュウカガミが私のことをあいも変わらずちゃん付けで呼んできた。右手には紫色の鏡の破片が寄り集まってできた剣。最初の一撃は私の両手を潰して防いだけど次はどうにもできない。

「壊してバラバラに引き裂いて、私に取り込んであげる」

 カガミの目的は私をバラバラ死体にすることのようだった。

 真っ赤に染まった瞳からは血のような涙が流れている。それはどういう意味の涙かしら?そんなことを考えているうちに明らかに女子高生の腕力を越えた破壊をもたらす刃が振り下ろされた。

「ダメに決まってんだろ」

 お母さんの声が聞こえた気がした。

 私はまだ生きていた。

 カガミの斬撃は見当違いの方向に振り下ろされ、学校周辺の家屋が吹き飛ばされていた。お母さんが弾いたの?

「私とミクちゃんの邪魔をするのは誰!?」

「俺か。俺は頼政ヨリマサと呼ばれている。今日は帰れや」

 カガミと私の間には黒い刀を持ったお母さんが立っていた。

 バイクで着たのか、母さんは黒いレーシングスーツに身を包んでいる。

「独断でこれ以上の戦闘続行は不可能だろ。貴様のようなモノは監督役の陰陽師にそういう縛りを受けているはずだよな?」

 カガミの腕に亀裂が走り、砕けた。そしてカガミの剣も地に落ちて砕ける。

「私たちの間にババアてめえが入りやがっちゃったせいでもう帰る時間よ!!」

 誰も何もしていないのに、カガミの身体には次々と亀裂が走っていく。

「帰れ帰れ。帰ればまた来れるだろ。次は好きにしろ」

「クソババア!!」

 カガミの無事な腕が母さんに向かって振り上げられ、いつの間にか切断された。

カガミ、自分の身体を大切にした方が良いわよ」

 友達が勝手に崩れ落ちていく姿を見るのは忍びないので帰るように言葉をかけた。

 あと人殺しで私の身体をバキバキにしたとはいえ、今も変わらず私は友達のつもりでいるし。

「そうね。貴女の言う通り。次こそ誰の邪魔も入れずに殺してバラして一つになろうね」

 そう言うとカガミは背中から色とりどりの硝子ガラスを集めたような美しい翅を生やして飛んでいった。

「いや、私、流石に死ぬつもりないから。次殺しにかかるなら殺すわよ」

 次に会ったときは殺すしかないのかな。それは寂しいなと思いながら目の前が真っ暗になって意識を失った。

 

 

 

 

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