第22話
「文音ちゃん、バレンタインはどないする?」
私は、学校の休み時間、文音ちゃんに尋ねた。
「ああ、凌先輩に? ホンなら、一緒に作ろか? 私も、優君に作ったろ思っとったんやわ!」
文音ちゃんが笑顔で答えた。良かったわ……。
「ホンマ? じゃあ、学校終わったら、私ん家にね?」
「りょーかいやで!」
「なあ、凌? 明日ってバレンタインやな?」
昼休み、優君が突拍子なく尋ねて来た。
「ほやな。だから、何や、優君? ええな、文音ちゃんから貰うん確定やろ、優君は?」
僕は、すっとぼけているようで、マジで答えている。小明から?そんなんわからんやん?
「何、寝惚けた事言うとん? 凌かて、小明ちゃんから貰うん確定やろ!」
優君は、言い返して来た。
「俺も? 優君は、確定やて事認めた訳やな……。俺はわからへんで?」
僕は言い返した。見苦しい?かもしれへんな?
「冗談や思うてるけど、自分を卑下する発言は見苦しいで?」
僕は、優君の発言に笑ってしまった……。
「凌……! 何、笑っとんねん!」
「はははは……。優君が自分が思うた通りの事言うて来たから笑えて来たんやわ。伊達に、9年付き合っとらんな……。優君が、文音ちゃんからバレンタインチョコ欲しいなあ思うて、話振って来たんもわかっとるで? 心配せえへんでええやろ? 今日、慌てて作るんちゃう?」
「ハッ……! ハックチュ!」
私は、突然、くしゃみが出た。
「どしたん、文音ちゃん?」
小明ちゃんが尋ねて来た。
「誰かが私の良からぬ噂をたてたみたいやわ……。優君が私の有ること無いこと噂しとるんやわ、きっと!」
それしか、考えられん!
「二人は、何だかんだ言うて、仲ええな?」
何言うてはるんや、小明ちゃん?自分もやろ?
「自分はどうなん、小明ちゃん? 凌先輩とクリスマスも初詣も一緒やったんやろ?」
言い返したったで?
「ほやな……。まあ……、そんな事は関係あらへんやろ?」
赤くなって、誤魔化そうとする小明ちゃん、かわええな!
「わかっとる、わかっとる。お互い、見返したろな?」
「何か……、怖気がしたんやけど?」
優君が、身体を震わせながら言うて来た。優君を震え上がらせられるっちゅう事は文音ちゃんしか居らへんな……。
「風邪のひき始めとちゃう? 期末前やで、気を付けなあかへんで?」
それは言わへんけどな……。
「ホンマやな」
優君は、単純や……、知らん方がええ事も世の中には溢れている。
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