第17話

「今回の所は引き分けやな……」


僕達は、夏休み、そして、今は海水浴場に来ていた……。


「何が、引き分けやねん?」


優君は、未だに、勝負を引きずっているらしい。


「まあ、文音の方が断然かわいいけどな!」


でれでれしながら語る優君……、見てるこっちが恥ずかしくなるわ!


「優君から見たらね?」




「凌君も海入ろうよ?」


ビーチパラソルの下で、海を眺めていると、小明が声を掛けて来た。


「凌先輩、行ってください。ここは、優君と私が見てますさかい?」


気を遣わせて悪いね……。


「おおきに! じゃあ、お二人ともごゆっくり」


僕は、二人に声を掛け、小明の下に向かった。




ひとしきり、海で遊んだ後、僕達は、ビーチバレーをした。当然、組は僕と小明、優君と文音ちゃんで、優君は言わずもがな、勝ちに来た、負けず嫌いなんや、昔から。フェイントあり、コートギリギリ狙いありとか……。まあ、楽しかったから良いんだけどね!




「ふぅー……、もう帰る時間になってしもうたな……」


楽しい時間は早う過ぎるもので、そろそろお暇する時間となった。


「来年、また来ればええやん?」


「ほやな! 来年、また来ようや!」


「ほやね! また、4人で来ようよ」


これが、地球で過ごす、小明達と過す最後の夏、海水浴になるとか、なんて誰が想像ついただろうか?




「今日はありがとう!」


小明の家の前、と言っても御近所なんやけど、で小明が笑顔を浮かべて言った。


「こちらこそありがとな?」


僕も笑顔で返した。


「凌君、また、行こうね?」


「また、行こな? ほな、な……」


僕は、踵を返そうとして小明に肩を掴まれた。


チュッ……! 素早い身のこなしようでキスをされ、反応が出来なかった。小明は、顔を真っ赤にしていた……。


「ほな、ね、凌君!」


「ああ!」


小明は、恥ずかしいからなのか、慌てて、中に入って行った。僕は、しばし、茫然としていた。




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