第14話

本文

不良さん達との争闘、もとい、一方的な掃討から数週間経過し、僕達は平穏な学校生活を過ごしていた。不良さん達は、もがきながらも、学業に勤しんでいる……らしい。




そして、僕は、休日を迎えた今日、小明と街中を歩いている……。




~昨日~


「凌、明日は文音とのデートやねん!」


優君が、テンション高く叫んでいた。


「良かったやん!」


僕も肯定の応答をした。優君は、文音ちゃんの前では愛想無しの態度を見せているんだけど、素直じゃないんだよね、彼は。本当は、文音ちゃんが……なんだよね。


「何、他人事みたいに言うとんねん?」


優君の顔には、悪戯めいた表情が浮かんでいた。


「へ? 優君が文音ちゃんとデートする、それだけとちゃうんか?」


僕は聞き返した。


「それはな、凌、お前は、俺が文音とのデートしている間、小明ちゃんと二人きりで行動する、つまりは、俺もお前もデート、ダブルデートやねん!」


優君は、さも俺達グッドアイディアやろ?というどや顔を見せて、語った。まあ、文音ちゃんが小明を言いくるめたんだろうと思う。気ぃ使わせてしもうたな……。


「これは、決定事項やし、お前に断る権限はそもそもあらへん」


優君は、言い切った。




「眞白さん、どこ行く?」


僕は小明に話しかけた。


「黒谷さん、小明でええですよ?」


「そう?」


「文音ちゃんに聞きました。私は記憶無いですけど、黒谷さんとは昔からの関係やって……。私自身も、何や、変な感じですし……」


やっぱ、変やったか……。まあ、記憶が封じ込められる前迄は、名前で呼んどったし、な……。それやったら……、


「小明も、僕の事、名前で呼んで、敬語もやめてくれへんか?」


僕は、小明に頼んでみた。


「わかった、凌君! ほな、行こか?」


記憶が封じ込められても、やはり、僕は小明に振り回されっぱなしは変わらへんな……。少し前の事なんやけど、この二年は、体感としてはそれ以上経っているような感じだった。小明がどうあれ、僕が為す事は変わらない……。

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