くまくんとしゃけくん

両目洞窟人間

くまくんとしゃけくん

くまくんはげんきなおとこのこ。きょうもあそびにでかけています。

「よーし、きょうはしゃけくんとあそぼう」

くまくんはさかなのしゃけくんとあそぶため、しゃけくんがすむ、かわへやってきました。

「しゃけくん。しゃけくん。あそびましょー」

くまくんがかわにむかってそうあいさつします。

「あ!くまくん!!あそぼう!あそぼう!」

しゃけくんがくまくんにこたえました。

「しゃけくんきょうはなにしてあそぶ?」

「いっしょにおよごうよ!」

「わー!たのしそうだねー!」

くまくんとしゃけくんはいっしょにおよぎはじめました。 

すーいすい。すーいすい。

くまくんはしゃけくんのせなかをみておよいでいます。

「わー。しゃけくんおよぐのはやいなあ」

「えっへん。いっぱいれんしゅしてるからね」

しゃけくんはすいすーいとおよいでいきます。

くまくんはそんなしゃけくんをみながらおもいました。ぼくもしゃけくんのよういすいすいとおよぎたいなあ。くまくんはしゃけくんのおよぎかたをまねようとしてみます。でも、ぜんぜんうまくいきません

「あははは。くまくん。それだとくまくんはおよげないよ」

「しゃけくん。どうしてなの」

「ぼくはこのひれをつかっておよいでるのさ。くまくんにはないだろう?」

くまくんはじっとてをみました。

くまくんにはひれがありません。

くまくんはかなしくなりました。

「ぼくにもひれがあったらなあ。ぼくもしゃけくんみたいにさかなになりたかった」

「さかなはたのしいよ。ねんじゅうみずのなかだし。でもぼくはくまくんのようにきにのぼりたかったなあ」

「しゃけくんもぼくみたいになりたかったの」

「うん。ぼくもくまくんにあこがれてるんだよ」

くまくんはおどろきました。

しゃけくんもだれかになりたいなんておもうことあるんだ。

くまくんはしゃけくんをみます。

すいすーいとたのしそうにおよぐしゃけくんもきにのぼりたいとおもうんだな~。


喰らえ。


えっ。いまのはなんだったのでしょう。

くまくんはおどろいてまわりをみわたします。

このかわにはくまくんとしゃけくんしかいません。

おかしいなあ。だれのこえだったんだろう。

くまくんはまたしゃけくんとおよぎはじめました。

「よーしくまくん。あのかわぎしまできょうそうだ!」

「まけないぞしゃけくん!」

ふたりはおよぎはじめました。さすがしゃけくんすいすいとおよいでいきます。

くまくんはしゃけくんのうしろすがたをみるばかりです

「さすがしゃけくん。はやいや」


喰らいつけ。奴の生き血を啜り飲め。


「だれー!?」

またこえがしたのでくまくんはよびかけてみます。でもだれからもへんとうはありません。へんだな。なんだろう。

またおよぎはじめました。

「おいついてみなよくまくん」

「はやいよしゃけくん!」

くまくんはしゃけくんにひっしにおいつこうとします。

でもしゃけくんはそのさをひろげるばかりです。

くまくんはそんなしゃけくんをみていました。

さゆうにふれるからだ。ひかるひふ。てきどなにくづき。

くまくんはしゃけくんのいままできにならなかったからだつきをじっくりみていました。

どうしたんだろうぼく。

しゃけくんをみているとなんでかむねがどきどきしてきました。


喰らえ!その歯で奴の頭蓋骨を砕き壊せ!!


「やったー!いちばんだー!」

しゃけくんがどうやらゴールについたようです。

「えっへっへ。やっぱりおよぎはぼくのほうがつよいようだねーくまくん」

くまくんはゆっくりゆっくりしゃけくんにちかづいてきました。

くまくんはじっとしゃけくんをみています。

ひとこともしゃべらず。じっと。

「くまくん。じっとだまってどうしたの。くやしいのかい?」

くまくんはしゃべりません。はのすきまからあらいいきづかいがきこえます。

しゃけくんは、くまくんのかおをみました。

あれ。くまくんこんなにこわいかおしてたっけ。

「しゃけくん。ごめんね」

しゃけくんがえっ?とききかえそうとしましたが、そのぎもんがこえになるまえにしゃけくんのからだはういていました。

くまくんはしゃけくんのからだをそのちからづよいうででなぎはらいました。

なんで。なんでくまくんは僕を襲うの……?

しゃけくんの脳がその疑問でいっぱいになるころにはしゃけくんの体は石がひしめく川岸に叩き付けられていた。骨が折れる音が聞こえ、人生で味わったことのない痛みがしゃけくんを襲った。

叫ぼうとした。しかし、声が出ない。叩き付けられたときに喉は潰れていた。

苦しい。息苦しい。息ができない。しゃけくんは無意識にえらをびたびたと動かした。それは痙攣しているように見えた。しゃけくんは生きるためにえらを動かした。しかし、水の中ではないからそんなことをしても無駄だった。そしてそのこともしゃけくんはわかっていた。それでも動かすしかなかった。

びたびたびたびた。

しゃけくんは泣いていた。

なんでこんな目にあうんだ。さっきまで遊んでいたのに。くまくん、なんで。

しゃけくんは振動を感じた。

くまくんがこちらに近づいている。

くまくん、冗談ならやめて、もう助けて。また一緒に遊ぼうよ。

しゃけくんは願った。

しゃけくんの視界が大きな影で覆われる。

くまくんの体だ。

その時、しゃけくんは気が付いた。

もう彼が友達のくまくんではないことに。

彼が野生に目覚めた熊になってしまったことに。

ごりっ。

熊はしゃけくんの首筋に噛みついた。そこで鮭の意識はフェードアウトした。

熊は鮭を貪り喰った。鮭の血潮を、肉を、その骨を貪り喰った。

喰らい終わると熊は叫んだ。その咆哮に森の木々に休んでいた鳥たちが一斉に飛び去った。


カシャ。


その森から小さな音が聞こえた。

森に立ち並ぶ木々。それに隠れるように人間の男が立ち、そして熊にカメラをに向けていた。男は熊が鮭を喰らうその一連の行為をすべて写真に収めていた。

男の名前は田中正嗣。世界中の自然をカメラに収めてきたカメラマンである。

鮭を喰らう熊の写真。

田中がこのカナダで撮ったこの写真は大きな反響を生むことになった。

「まさか、あんな反響があるんなんて想像もしませんでしたよ」

田中は現在68歳。今もなお現役のカメラマンである。

「まだあの頃は大学を卒業したばかりで、カメラマンとしては正直二流三流でした。くやしかったですよ。どれだけシャッターを切っても、目の前に広がる世界の美しさを本当には撮ることはできていなかったんです」

そんな田中にとってブレイクスルーのきっかけになったのがあの写真である。

「確か28歳の時でした。もともとはカナダの森で取材をしていたんです。その森でキャンプをしていた時、遠くの川辺に熊がいるのに気が付きました。正直、怖かったですよ。でもあの時、生命の危機なんかよりも、今、この瞬間、私が見ているそのものの写真を撮らなければならない、そんな衝動に襲われたんです。まあ若かったんですよ」

田中はカメラを熊に向けた。シャッターを何枚も切った。カメラマンになって初めて手ごたえを感じた。

「何枚もシャッターを切りながら、私は興奮していました。カメラを持ってから初めての興奮でした。今、俺は本当の写真を撮っているんだ。これまで何千枚と写真は撮ってきたはずでしたが、そのとき私はそう思いました。実際そうでした。写真家としての一枚目はあの瞬間だったんです」

熊が鮭に噛み付いている写真、それは数カ月後、ネイチャー雑誌の表紙を飾ることになった。

弱肉強食がグラフィカルかつスタイリッシュに切り取られたその写真はたちまち大反響を呼んだ。

「表紙になったあとは、次々に私に依頼が来ました。写真を撮る依頼ももちろんですが、それだけじゃなくあの写真にも。まあ一番驚いたのは教科書に載せていいか?って話でしたけども。私はすぐに言いましたよ、ぜひぜひ。子どもたちに本物の自然を見せてくださいってね」

田中の写真は小学生の国語の教科書に掲載された。田中が撮った鮭を喰らう熊の写真は老若男女が知るものになっていた。そして田中はあるとき旅先で思いもよらないものに遭遇することになる。

「北海道に取材に行ったときですね。お土産屋に寄ったら、木彫り人形がずらーと並べてあってへーと見てたらね、鮭を食べてる熊の木彫りがあったのよ。店員さんがこれ人気なんですよーって話しかけてきたんだけども、これ僕の写真だよって!」

田中の写真は一人歩きしはじめていた。各地で田中の写真をもとに作られた木彫りの鮭を喰らう熊がお土産になっていた。

「最初はショックでしたけども、今じゃ各地のお土産見て回るのが楽しみですよ。知ってますか?この木彫りの熊って海外のお土産屋でも作られているんですよ」

そう話す田中の背後にはたくさんの木彫りの熊の人形が飾ってあった。その熊たちの口には一様に鮭が咥えられていた。

「私もこの熊のファンなんですよ」

そう笑う田中は今も世界中を飛び回り続けている。

「世界にはまだ誰も見たことない美しいもので溢れている。それを撮るのが私の仕事です」



しかし田中は御年68歳になる。体力は持つのであろうか?

「昔に比べると無茶はできません。だからこそ、自分で行う体調管理が大切です」

田中は何か特別なことをやっているのだろうか?

「実はね、これを飲んでいるんですよ。青汁カプセル。毎日これを1錠飲むだけで身体がみるみるうちに元気になっていくんですよ」

もともと健康食品には疑いを持っていたという田中。青汁なんてのはもってのほかだったそう。

「青汁なんてね。飲みづらいと思ってたからね。でもね。この青汁カプセルは飲みやすい」

60歳の時に実は病気になった田中。だからこそ健康には人一倍気を遣うようになったとか。

「60で倒れた時に、まだ世界を僕は見てないなって思ったの。で、僕は運よく助かったからね。より長い時間この大切な仕事をしたいと思った。で、いろんな健康法を探してるときに出会ったのがこの青汁カプセルだったんだよ。今は出会えて、本当によかったと思っているよ」

田中正嗣68歳。職業カメラマン。まだまだ現役。その気持ちと体を支えるのは青汁カプセル。

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くまくんとしゃけくん 両目洞窟人間 @gachahori

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