ゐゑはるの独り言ち

ゐゑはる(いえはる)

「年齢」について

 私は「いま、おいくつですか?」と訊かれ、すぐに答えられないようになってしまいました。別に「答えたくない」という訳ではないのです。「…あれ、俺いま何歳だったっけ?」と、左下を見ながら考えてしまう。「俺が生まれたのが西暦何年だから…」と、いちいち計算してしまうのです。

 「昔はそんなことはなかったのに…」と思い返してみるのですが、当時は年齢で答えてなかったなと、学年で答えていたなと、記憶がよみがえってきました。中学生や高校生の時は、学年で答えればだいたいの年齢は分かるものです。「中一です」と言えば十二〜十三歳ですし、「高三です」と言えば十七〜十八歳ということが分かります。

 そこの辺りの年齢が一定でなくなってくる分岐点が、大学生ぐらいだと思います。高校でも留年や浪人はありますが、おおかた大学生が割合を占めていると思います。大学には色んな年齢の方がいます。明らかに教授顔をした人が、学生であったときには驚きました。いくつになっても学ぶことは素晴らしいことですので、それを否定している訳ではありません。最近流行りのダイバーシティをふんだんに用いているのが、大学の良いところです。ですが、それによって曖昧あいまいになってくるのが「年齢」というものです。同じ大学一年生でも、十九〜二十歳とは限りません。飛び級で入った人もいるでしょうし、やっと浪人して入った人もいるでしょう。様々な年齢の人が同じ階級にいるのです。だからこそ、年齢があまり人を見るときの重要項目に入ってこなくなるのです。人によっては、「もう○○歳だし」と気にされている方はいらっしゃるとは思いますが、私はもうクラウドにその情報は追いやってしまいました。そのため、年齢を訊かれた際にすぐに答えることができないのです。


 「年齢」というものを重要視すると、上と下が出来上がってしまいます。要は上下関係のことです。上下関係、必要ですか?私は必要ないんじゃないかと思います。「お前は先輩に対して敬語を使いたくないだけじゃないのか?」と言われそうですが、そうではありません。私は「誰に対しても、先輩でも後輩でも同輩でも、敬意を払って接するべき」という考えでいます。

 「敬意を払う=敬語を使う」は、どうも納得ができない等式です。敬語を使えば敬意を払ったことになるのであれば、慇懃無礼いんぎんぶれいなんて言葉が世に浸透するはずがありません。大事なのは、相手を敬う意思があることであって、敬う言葉を正しく使うとこではないのです。中学や高校の部活動で無理やり押し通されてきた上下関係は、今でも社会に巣食う悪性のがんです。その癌を取り除かねばならない、そういった使命が今の若い世代にあるのだと感じています。ただ、これは私が勝手に思っていることで、みんなの総意ではないです。

 上下関係をしっかりしたい人はそうすれば良いですが、それを強制してこないでほしいというのが私の意見です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る