幼なじみの親友で性格クソなアホガキとは恋愛には発展しないがいろいろとヤラかしてしまう

助部紫葉

#1



高校受験を控えた今日この頃。ちょっと肌寒くなってきた、そんな時期。



「サツキー!帰ろー!」



帰りのホームルームが終わり放課後。自由になるや否や学校指定運動服姿のおなじみの顔が俺の席までやってきた。


幼なじみで親友の朝日屋あさひや夏雲かずも。愛称はカズ。


少年のような容姿に性格はクソガキそのまま。運動服の上から見ても胸の膨らみはまったく無く、カズの事を知らない人が見れば男子中学生にしか思われないだろう。しかし、一応、生物学的には女子ではあった。


かく言う俺もカズの事をちゃんと女子扱いしたことは無い。完全に男友達と接するノリで相手にしていた。



「さっさと帰ってサツキん家でゲームしよ!」


「カズ、おまえ……今日、数学の小テストで0点たたき出したから補習で放課後残れって言われてなかったか?」


「うん!帰ろ!」


「即答……バックれる気まんまんか」


「補習とかヤリたくないに決まってるよね?なんで僕が補習とか面倒臭い事しなきゃらないの?」


「小テストで脅威の0点だったからですが?」


「それ僕じゃなくて僕に0点を取らせるテストが悪いんじゃん。なんで僕が100点とれる問題出さないの?頭おかしくない?」


「悪いのもおかしいのもテメェの頭だよ!」


「はぁあー!?それどういうことだよサツキぃ!それじゃまるで僕が頭悪くて勉強出来ないみたいじゃん!ふざけんなよ!」


「まったくもってその通りだよ!」



こんな具合で馬鹿で阿呆で性格がひん曲がっているのがカズである。


とりあえずカズの首根っこを引っ捕まえて先生の所まで連行した。



「おい!サツキぃ!離せよっ!僕を何処に連れてくつもりだよ!?」


「先生のとこ」


「やーめーろーよー!ヤダー!補習したくないっ!帰ってゲームしたい!」


「うるせぇ!暴れんな!大人しく補習うけろ!オマエが逃げると何か知らんが俺が怒られるんだよ!」



そしてそんなカズの親友である俺はといえば、バカの保護者という位置付けで確定していた。


朝日屋が何かしたらとりあえず久保のところに行けばいい、みたいなそんな感じである。わりと理不尽な扱い。どうしてこうなった。まぁ、いいけど。



「先生、補習逃げようとしてたカズ連れてきましたー」


「おう久保。いつも助かる。おい朝日屋オマエまた逃げようとしたのか?おおん?」


「ぐ、ぐぬぬっ……!い、いやー……今日は家の用事があってー……」



顔を逸らして吹けない口笛をスースー吹きながら、アリもしない用事をでっち上げ始めるカズ。



「久保?」


「無いです。大丈夫です。コイツ帰ってゲームするつもりでした」


「喜べ、朝日屋。今、補習が倍になったぞ。いっぱい勉強しような」



先生は良い笑顔でカズに容赦ない判決を下した。自業自得である。



「サツキぃー!余計なこと言わないでよ!僕のこと売りやがって!この裏切り者っ!」


「はいはい。大人しく補習うけろなー」


「ぐぬぬぬぬっ……!サツキ!僕が補習終わるまで待っててよ!先帰んないでよ!?」


「は?普通に先に帰るけど?」


「ヤダー!待ってて!」



ジタバタと駄々っ子の様に暴れ始めるカズ。どっからどう見てもタダのクソガキである。はぁ、鬱陶しいなコイツ……。



「……わかったから、暴れないでもう大人しくしろよ」


「約束だからね!」


「はいはい……」


「なんだ。久保も残るのか?よし、折角だし久保も補習受けてけ!」


「はあっ!?」



そうして俺もカズの巻き添えをくらい。補習を受けることになるのであった。



「ざまぁwww」


「覚えろよテメェ!」



とは言いつつも3歩どころか歩かない内に都合の悪い事は3秒で忘れるカズである。覚えているはずは無い。


ホント、コイツの頭どうにかならんもんか。




◇◇◇




理不尽な巻き添えをくらい、補習を受け終わり校舎の外に出る。既に日は沈み夜の帳が降りていた。真っ暗。



「サツキの巻き添えくらって補習受けてたら、もう真っ暗じゃん!ホント勘弁してよね!」


「俺が言おうとした台詞そのまま言うなや。なんで俺のせいで補習受けたことになってんだよ。お前のせいだろうがバカズモ」


「はぁ!?だいたいサツキが僕のことを先生に売り渡すから居残りするハメになったんだろ!はい、やっぱりサツキのせいー!」


「このガキャ……!」



コイツの頭はどれだけ自分に都合のいいように出来てるのだろうか。



「ちぇ……こんな遅くなったら遊んでる時間ないじゃん」


「今日はこのまま大人しく帰ろうか」


「これも全部サツキが悪いんだからね!?ちゃんと反省しろよ!」


「はいはい……もう全部俺が悪いでいいですー」


「んじゃコンビニ寄って帰ろ。お詫びとしてなんか奢らせてあげるよ。あっ、僕、肉まん食べたい」


「コンビニじゃなくて公園寄ろう。泥団子握ってやるよ。カズには肉まんより泥団子の方が似合うぞ」


「ぷっ……!えっ、なに?サツキこの歳になって泥遊びとかすんの?恥っずぅうwww」


「よーし!やッぱり公園寄ってくぞー!カズに

泥遊びの楽しさを教えてやろう!」


「は?行かないけど?」


「いいから着いてこいやテメェ!」


「ちょぉっ!?何すんだよっ!はーなーせーよー!」



そうして俺はカズを近場の公園に強制連行した。



「ごめっ、ごめんって……!?あ、あやまるがらっ!ゆ、ゆるじーーおぼぼぼぼぼっ!?!!」


「ほらどうだカズー!顔面泥パックは気持ちいいか?ああん!?これでカズモちゃんのお肌ピチピチで可愛くなっちまうなぁ!?」



砂場にペットボトルで水道から水組んできて、それを使い泥を作った。そして、その泥に容赦なくカズの顔面を突っ込むのであった。




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