7世界は狂う・・・話

娘が消えただと? 7年前に?

どういうことだ? 物語は続く?

いや、 おかしい。

本の世界ではこんな場面はない。


次の日、俺は馬に乗り、森へと向かった。

最後に王女を目撃した狩人が、王女は森へと向かって行ったと話していた。

森までは遠く、入り口に着いた時にはすでに お昼だった。

森へと続く道を歩いているのは 老女、商人、 旅人ぐらいだ 。

とりあえず 馬で進んでいく。

 

 ーこっちだ。


不意に俺の中の王の魂が言い出した。

 は?どうしてわかる?


 ーいいから。

俺は王が言うとおりに道を進んでいく。

森のだいぶ深くまで来た場所に、小屋があった。

 

 ーやっぱりあった。


その小屋は小人がようやく住めるぐらいの小ささだった!

まさか、小人の家?

だとしても、どうして?


馬を下り、家に入る。

家の中の高さは子供の背丈ぐらい。

こじんまりとしている家の一番奥の部屋に入る。

小さなベッドが8つ。

その上に寝ていたのは


 ー白雪、我が娘だ。

綺麗な髪と顔立ち。すやすやと眠るその横顔は天使のようだ。

「ガタン。」

誰かが帰ってきた。

「いや〜お前が急に穴に落ちたからびっくりしたぜ。」

「本当だよ。」

「あ〜眠い。」

この家の持ち主の小人だ。

急いで出なくては。

近くの窓を開け逃げようとした時小人たちが寝室に入ってきた。

「ひめ〜って、ど、どうしたんですか!」

「 あ、怪しい奴がいる。殺せ。」

「殺〜れ。」

すぐに出て馬の元へ走った。

そういえばあの王女の首元に編み込まれた紐が括りつけてあったが・・・何なんだ?


 ー殺す。


 奴隷とかそういうことじゃないと思う。落ち着け。

しかし、どういうことかわからない。

次の日、今度は小人たちの後について行った。8人の小人は小さな洞窟へと入っていった。


 昼過ぎ。

彼らを待っていることに飽きた俺は、あの家に戻った。

窓は開いており、中から 王女を見ようとしたが誰もいない。

ふと下を見ると櫛が頭に刺さっている、王女、白雪が倒れていた。

息は浅く、顔は真っ青。

どうしてだ?なぜこうなった?これはまるで、まるで・・・

「ガサッ。」

草が揺れる音がした。

誰だ!

音がする方に駆けだした。

誰かの人影が見え、追っていく。

しかし、一向に姿が見えない。

仕方なく、あの家に戻る。


 家の中に入ると、櫛は窓の下に落ちていた。

しかし、白雪はいない。

寝室に入ると、昨日のようにすやすやと眠る白雪がいた。

どういうことだ?小人たちがいる洞窟へと向かう。

しかし、洞窟の周りは燃えており、とても近づけない。

俺は訳が分からず城に戻った。

なぜ火が、白雪が。


ただ答えは何となくわかった気がする。

紐に、櫛に、老女、小人。

今回は少し簡単かもしれない。


 次の日の朝。

答えを確認しに、俺は真実の鏡の元へと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る