魔女と僕と彼女と
あれから数日間僕は彼女の言葉を引きずっていた。
「出来るなら君にこの命を捧げたい――」
彼女のこの言葉がずーんっと腹の底に残っている気がする。
次の日とその次の日は学校を休んだ、金曜日だけ学校に行くのもめんどくさかったから結局月曜日までベッドの上で丸まって過ごした。
月曜日の学校はなんだか久しぶりな気持ちになった。
「久しぶりだね」
いつもの場所に彼女は変わらず居た。
珍しくスマホで誰かにメッセージを打っている最中だった。
今日のマグロには業務用と書かれた札が貼られていた。
「そんなに久しぶりでもないと思うけどなー」
「どーせ、女のところにでも行ってたんでしょ」
何故か彼女は不機嫌そうにそう言う。
「それも女の勘ってやつか?」
「そうよ、当たってるでしょ」
突然強い風が吹き彼女のスカートを捲り上げた。
「今日も空は青いなー」
「もー、今絶対私のパンツ見たでしょ」
僕はもちろんそれには答えずに、購買で買ってきたパンの袋を開けて齧る。
「で、今日は青色だったのか?」
その一言に彼女は一瞬キョトンとするが、すぐに顔を真っ赤にして「うっさい、バカ」とだけ返してきた。
「意外に黒とか白とかかと思ったけど、案外ふつーな」
「普通の何が悪いのよ!!というか悪い!?」
今度のはちょっと怒気を孕んでいた。
「なぁ、今日さ。学校抜け出してちょっと海まで行かないか?」
「あなたからなんて珍しいわね。なにかあったの?」
「あったんだよなぁ」
返事なのか独り言なのか、曖昧な返事を空に向けて吐く。
「良いわよ、前回は私に付き合って貰ったし。今日は私が付き合ってあげる」
彼女は笑いながら答える。
「その代わり何処かで飲み物でも買って行きましょう、もちろんあなたの奢りでね」
人差し指をピンと立てながらそんなことをいう彼女がどこか面白く見えた。
「前と同じで、チャイムがなったら出発でいいか」
「おふこーす」
彼女のヘタクソな英語に二人して笑いあった。
まだ二人とも食べ終わっていなかった昼ご飯を食べるといつも通り僕は彼女よりも先に教室へ戻った
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