赤ちゃんのなみだ

明鏡止水

第1話

この世で小さいものとはなんだろう。

かんがえなくてもいい。ただ、あなたの、きみの、ちかくに。

あかちゃん、というものはいるか。

たまごのなかだとおもう。その卵は朝取られたり、はこばれたり、あさごはんになるものかもしれない。

あかちゃん。

みんなの、あかちゃん。

きみは、かんがえるのかな。なまえをかんがえるのはきみのおとうさんおかあさんだ。

おじいちゃんおばあちゃんかもしれない。

でも、きみがお花のなまえや鳥のなまえをその子につけたっていいんだ。

たとえば五月にひくくとぶ、三角形のつばさをぺちぺち羽ばたかせるツバメちゃん。

きみのまわりにはツバメさんというお友達やあかちゃんはいるかい?六月はどうだろう。紫陽花ちゃん、紫陽花さんなんて、どうだろう。かわいい。そして大人っぽい。ほかにはいないなまえだ。

珍しすぎていじめられたら困るから、うんと、やさしいせかいと、うんと考えてなまえをつけてもいいね。

さあ。守りに行こう。

きみの、たいせつな赤ちゃんを。

だいじょうぶ。抱っこしなくていい。ハイハイもミルクも欲しがらないし、それに、きみのことが、

きらいかもしれないから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る