幕間二.憶(パラレルアンドロメダ)

 またまた昔話をしましょう。前回の幕間から少し進んで中学生の頃のお話です。どうぞ、楽しんでください。


 * * *


 中学生になった憶話綴、未だに構想を練り続ける。言葉遣いで詰まり、書くことはやめてしまった。だが、物語を考えるという行為はやめることはできなかった。楽しいのだ。自分の世界に没頭して様々な展開を考えるのが楽しかったのだ。

 少しでも自分の世界に意識が向いてしまうと、授業中でも次の展開を考えてしまう。多分、このせいで成績が上がらなかった。

 中一の後期頃だろうか。憶話綴、あることに気づく。

「あれ? 僕のお話、異能力バトル物になってない?」

 そう、不思議な日常をイメージしていた。しかし、いつの間にか異能力バトル物になっていた。特殊能力に憧れのようなものがあったからなのか、いつの間にか異能力バトル物になっていた。憶話綴、不意にひらめく。

「なら異世界異能力バトル物考えるか」

 そして新たな物語を考え始める。


 初めに思いついたのは能力だった。しかもラスボスの。能力は「触れた物を粉微塵にする」というもの。(この時の僕は粉微塵なんて言葉を知らない)

 しかし「能力のせいで凄惨な過去を送った」という設定を考えてしまい「残虐なラスボス」ではなく「悲しきモンスター」になってしまった。

 当時の憶話綴、ラスボスには最後まで残虐であってほしかった。なのでこの案は数日で廃棄した。そしてラスボスはただの村人になった。ある事故で魔法が全く制御できなくなっただけの。


 次に思いついたのは主人公。主人公は村から旅に出る。モンスターを倒す。仲間を作る。ゆくゆくはラスボス(イメージは魔王)を倒す。

 おおまかな流れは思いついた。しかし大きな問題を作ってしまった。

「あれ? 旅の理由、魔王倒すことじゃなくない?」

 そう、主人公は優しい性格であり、モンスターも「どうしても」という理由がなければ倒さない。旅の理由も「——を倒す」にしたくなかった。なので理由は魔王退治とは別のものにして、その道中で魔王を倒すことにした。


 ここまで考えた頃、ある伏線を思いついた。しかしその伏線は言語化してしまうとあまりにも露骨になってしまい、すぐに気づかれてしまうと思った。なのでこの物語は小説にはしないで、僕が漫画を描けるようになったら描こうと考えた。


 そんなこんなで日々様々な案を考えていると、大変面倒な問題を見つけた。

「地球と太陽があの距離感だから一日は二十四時なんだよね? じゃあ異世界って一日の時間変わるよね? しかもきっかり一時間違うとかないよね? 異世界だと一日二十時間、とかじゃなくて一日二十時間三十二分四十秒とかだよね? 面倒になるよね? 一日が短くて一年が短いとかなら、少年少女が『三十歳です!』とか言うのかな? それはそれで面白いね」

 少年少女が「三十歳です!」という世界でも良かった。しかしそれでは、読者に毎回年齢を計算させなければならないと思い別の案を考えた。

「地球と太陽があの距離感だから一日は二十四時なんだよね? やっぱり時間は合わせたよね。なら舞台は地球でよくない?」

 考えたのは並行世界の地球。これなら時間合わせが簡単だ。

 そうして舞台も決まった。


 そういえばタイトルを考えてなかった。中一の僕のセンスが導き出した答え。


『パラレルアンドロメダ』

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