けんけん / 川田果樹

川田果樹

けんけん

かくしごと=夏のけんけんぱ


傲慢に線路は夏の河の上


ほんたうに生きてゐるのか実梅もぐ


とおくからトマトがやってくる港


触角の素朴にうごく夏野かな


工事夫の握る白旗かつみ草


さかさまに干さるる鞄祭笛


ぽつぽつと落とす靴下蟻地獄


消せるけど消さない傷やダチュラ垂る


人間の影濃ゆき夜や青蛙


囁きをやめし耳から雲の峰


コンビニの遠き家なり貝風鈴


南風吹く花瓶の底にたまる砂


へその緒は晩夏の画面外に伸び


泥むとも弾くともなき秋のみづ


エレベーターガールに月夜火をねだる


冬ざれや隣の椅子に座れない


環状線窓の曇れる小晦日


読む人も札を取りたる歌留多かな


刻まれて古語やはらかに春の湖

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けんけん / 川田果樹 川田果樹 @kaki813

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