恋音・こいおと
しおとれもん
第1話 見返り美人
絡めた腕を解くと男の眼もくれず、踵を返して背中を見せ、冬枯れの木立を横に真っ直ぐ歩いて行く。
薄緑なコートの背中が冬の刹那に消え入りそうで可憐な背を抱き止めようと反射的に手を伸ばしたが、届きもせず、ナオミの心はここに無い事を証明していた。
「ナオ!」佐和鳶一縷(さわとびいちる)は声を限りに直美を呼び止めた。が、いつもなら直美は、一縷の声に唯々諾々と応えて微笑みを含み見返り美人のように振り向くが、等間隔に生える銀杏並木とポプラの陰に隠れて直美の足取りは消えて行った・・・。
ブーツが似合う白く細い脚だった・・・。
短いCPОから覗く白い足はここから離れがたい様に彷徨っていた。
堪らなく寂しい・・・。小さくなって行く直美をじっと観ていた一縷。
アゲンストの風に乗って直美の涙や寂しさがザクザクと一縷に突き刺さる。
これでもか!と言うくらいに容赦無かった。
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