恋する包囲網

東雲さき

プロローグ

バレンティーヌ王家のシャルロット王女とレオンハート侯爵家三男のエドガーは知る人ぞ知る仲睦まじい恋人同士である。


しかしシャルロット王女は年頃だというのに学園に通っておらず、エドガーは学園には通っているものの授業に出席している姿があまり見られないため、他の生徒たちとの交流がほとんどない。

顔を前髪で隠し必要最低限しか喋らないその姿は、どう見ても高位貴族の令息とは思えない。

良くて爵位不明で寡黙なミステリアス隠れイケメン、又は根暗な地方低位貴族の令息というのがエドガーをよく知らない人々の独断と偏見による評価だ。


そんな二人は婚約してもうずいぶん長いのだが、シャルロットへ恋慕する男が未だに現れることがある。

シャルロットの美しさに魅入られた者が自分こそはとアプローチするも、誰一人念願叶った者はいない。


シャルロットとエドガーの仲睦まじさは王族・高位貴族・王宮関係者には周知の事実なのだ。


そんな二人は今日も周囲に砂糖を撒きながら愛する人との時間を堪能している。


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