第17話 少女の願い

森を進み薬草を見つけた3人の前に現れたのは複数のウサギの魔物。

ミラは何とかその魔物を全滅させたのだが、大きな音と共に別の魔物が現れた。

それはミッシュラビットを丸呑みするほどの大蛇の魔物。

そしてミラとメルはアリトの後ろに隠れたのだった。


            ーー


シャー‼


ズシャッ!



威嚇した大蛇の魔物は地面を這い、あっという間にアリトとの距離を詰める。



「…うわぁーー!」


メルは叫びながら魔物に立ち向かおうとした。


ガシッ!

「ちょっとメルちゃん⁉」

メルの腕を掴むミラ。


「ア、アリトなんとかしてよっ!」


「あぁ」



シャー!


そして魔物は口を開けた。

その距離3メートル弱。


「速いな」

(3人で横に回避…いや、もう間に合わないか)

「なら…」

スッ


シュピンッ



「よし」


「お、お兄ちゃん…もう平気?」


「あぁ目を開けていいぞ」


「ほ、本当に倒したの?」


「そう言ってるだろ」


ドスーーーン!!


「きゃ!お兄ちゃ~ん!」


「ど、どういう事ー⁉」

「倒したんじゃなかったの⁉」


ミラとメルが音のする方を見ると大蛇がとぐろ巻きで空から降ってきた。



「うぅ…」


「きゃっ!……あ、あれ?」

「動いていない…」


「あぁ」

「奴は倒したよ」


「でもまだ魔物が消えてないよー…?」


「それは平気だ」

「首の後ろにある急所を狙ったからな」

(普通サイズの蛇なら即ダウンだろう)


「急所なんかあるのね」


「まぁあの大きさなら生命力だけは強いはず」

「だが……」


シュー…


大蛇は消えアリトの刀へ保管された。


「よし、薬草を持って帰ろう」


「やったぁ!」


「そうしましょうか…」

こうして薬草を手に入れた3人は帰路についた。



……



森を抜け、草原を歩いている一行。


スタスタ…


「メルちゃんはどうして薬草が欲しかったの?」



「…お母さん、元気なくて、ずっとお布団で寝てて」

「でも…お父さん…死んじゃって…居なくて」

「だから…メルが頑張って…助けようと思って…」

「お家にある、お父さんの本探して……」


ファサッ!


事の経緯を話しながら泣き出しそうになったメルをミラはそっと抱き上げた。


「自分で薬草を取りに行こうとしてたもんね」

「でも“村を出ると危ない”ってお母さんが言ってた事も守ってる」

「メルちゃんは偉いね」


「うぅ……えーん!…」



サラサラ…


「スー…」


ミラが頭を撫でているとメルは眠ってしまったようだ。



「さすがに疲れていたか」


「たくさん歩いたし、あんな魔物を近くで見たらそりゃね」


「俺が…」


「平気よっ」


「そうか」



スタスタ…



……



そして夕日が辺りを照らす頃、3人は村に到着した。



スタスタ…


「メルちゃんの家はどこかな?」


「…」

(あの花は…)

「多分あそこだろう」

アリトは花で囲われた一軒の民家を指差した。




コンコン。


「…コホンコホン。はーい…」


「こんにちは」

「メルちゃんのお母さんですか?」


「っ…⁉」

「メル!」



そして3人はメルの母が居る家へ到着したのだった。

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