第14話 祝い、そして酒
訓練最終日、突然アリトから魔法の詠唱とポーズは必要無いと言われたミラ。
だが、彼女の魔法の出来は完璧だったので問題は無かった。
そして、すぐにギルドの試験を受け、即合格。
2人はギルド受付嬢“シロエ”からギルドカードを渡されたのだった。
ーー
そして現在…
2人はギルドを離れ、酒場に居た。
「ギルドカード取得を記念して」
「かんぱーい!」
「おう」
ガチンッ
ここへ来たのは、ミラの要望でお祝いをしたい、との事だったのだ。
「私、お酒飲むの初めてなの」
「意外だな」
「お城ではママに『まだ早いわよ』なんか言われちゃってー」
ゴクゴク…ガタンッ
「んー!おいしい~!」
「…」
(ミラの過去は孤独そうだが、大事にはされている様だな)
数十分後……
「少し前の事だけど、アリトは何で王都に来てたの?」
「そうだな」
「ある人を探す為かな…」
「ある人?それってー?」
「いや…その人はもう居なかった」
「亡くなって…しまった人なのね」
「まぁそんな感じだ」
「なんか悲しくさせちゃったわね…」
「いいさ」
「酒のおかわりはいいのか?」
「はっ!もう
「すいませーん、サワージューシー1つ!」
ミラはジュースを飲む様にどんどん酒を空にしていく。
数時間後。
丸いテーブルに向かい合って座っていた2人だったが…
「んふ~」
「ねぇアリトは~なんでそんなに強いの~」
ミラはアリトに、もたれかかっていた。
「…」
(典型的な酔っぱらいのそれだな…)
「聞いてるの~?」
「あと~その仮面取ってよ~」
「だから取れないって言っただろ」
(人の仮面をツンツンするな)
「む~」
「まだまだ飲むわよ~」
「さいですか」
(酒豪なんだな)
ミラが飲んでいた酒は決してアルコール度数の高いモノでは無かった。
だが、飲む量が凄かった為酔っぱらってしまったのだ。
そしてそれから数十分後…
「スー……」
「…」
(完全に寝たな)
お祝いは夜まで続き、ミラは眠ってしまった。
「おっちゃん、ごちそうさま」
ジャリンッ
アリトは、一人で会計を済ませた。
「毎度ー!」
「さて、起こして……」
「いや、宿屋まで運ぶか」
(特訓頑張ってたからな)
「こうしてっと…」
シュー
バサッ
シュルシュル…
アリトは魔法で毛布を取り出し、ミラの全身を包む。
彼女は、かごの中の赤ちゃん状態になった。
「ふぁぁ~眠いな、帰ろう」
「よっと」
ファ~
アリトはミラを浮かした。
「これで運ぶか」
(この魔法の名は“エアーお姫様抱っこ”だな)
スタスタ…
キィー
バタン
アリト達は酒場を出て、宿屋へ向かった。
…
スタスタ
ガチャ
バタン
カチ。
「…」
(着いた)
シュルシュル~
アリトはミラを包んでいた毛布を巻き取る。
ポフッ
ファサ
彼女をベッドに寝かせ、毛布をかけた。
ファー…
キラーン、キラーン
「んー…アリト…」
「ん?」
「スー……」
「寝言か…」
「俺も寝よう」
ボフッ
ミラをベッドに寝かせたアリトは隣にある、もう片方のベッドで眠りについた。
……
チュンチュン…
朝日が差し込み、鳥のさえずりが聞こえてくる中。
「…リト!ねぇアリト!」
ユッサユッサ
ミラは寝ているアリトを揺すって起こす。
「ん?」
「もう朝よ!起きて!」
「ふわぁ、もう朝か」
「いや、まだだ……」
ファサッ
アリトは眠たそうにして、毛布で顔を隠す。
この男、朝にはめっぽう弱いようだ。
「起きなさいっ!」
バサッ!
だが、アリトの毛布は強制的に、はがされてしまう。
「眩しい…」
「おはよう、昨日は…って、その格好は何?」
「…何とはなんだ?」
「何で服の中に枕を入れているのよ…」
「あぁ、これ暖かいし、万が一の時用だな」
「へ?何を言っているの?」
「それに万が一って?」
「もし、寝込みを襲われた時に腹を刺されても枕がガードするだろ?」
「なるほどね…」
「……顔を狙われたら?」
「…それは、言うな」
「それよりさっ」
「ん?」
ボフッ
ミラは寝転んでるアリトの真横に座る。
「き、昨日の事、途中までしか覚えていなくって…」
「迷惑掛けちゃったのかなと思って」
「特に迷惑な事はなにも」
「眠ったミラを部屋まで運んで…」
「運んで…?」
「ん?」
「あー、眠ってる間に“ファブ”を掛けたなー」
「それだけ⁈」
「あぁ、まずかったか?」
「ううん…!ありがとう!」
(何故かアリトなら安心感あって同じ部屋にしたけど、1週間本当に何も…)
「じゃあ、俺は再び眠りに…」
「こらぁ!」
「早速ギルドの依頼を受けようよ!」
その後、アリトは毛布
ギルドへ連れて行かれる事になった。
……
「どの依頼にする?」
「…」
場所はギルドの建物内、2人は依頼掲示板を見ていた。
「…ん?」
ペラッ!
アリトは一枚の依頼の紙を手に取る。
「…これにしよう」
「ええ、わかった…それは素材の採取?」
「それに…報酬額が…?」
「道中の魔物を狩ったりすれば良いだけだ」
「問題ない」
「そうね!」
「依頼人は…この街から東へ行った村に居るみたいね」
「じゃあ出発!」
そして、早速2人は依頼主へ会いに、東の村へ向かうのだった。
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