転生した先でも、痩せられない。何かのドッキリですか?

WOULDYOU

第1話 転生しても、痩せませんでした。

僕、荒波 優太(37)は幸せな人生を歩んでいたと思う。


太っていて、彼女が出来なかったが、友達が沢山出来た。


太っていて、運動が出来なかったが、勉強が出来た。


太っていて、困ったことはなかった。


ただ、まぁ、病には勝てないわけで、俺は癌で余命宣告を受けてしまった。

医者からは、「太り過ぎの結果ですね。」とのことだった。


入院した時も両親や上司、同僚、後輩の本当に沢山の人達がお見舞いに来てくれた。


(本当に幸せな人生だったな。)

心の底から思う。

太っていることは悪いこと、ということがよう言われていると思うが、僕は、そう思わない。


だって、僕がこんなにも幸せに最期を迎えることが出来たんだ。

きっと、気持ちとか努力で変わる部分もあるはずだ。



「でも、最後にゲームが出来なかったなぁ‥‥。」

僕はゲーマーだった。

ゲームが好きで、やらない日は無い程だった。


「“永遠の光”をやりたかったなぁ‥‥。」

僕が1番好きなゲームだった。

他にもやり途中のゲームがあったが、今やりたいと思ったのがこのゲームだった。



“永遠の光”

あらすじは、平民の主人公、ロイが国立ダリオーク学園に特待生として入学して、数々の山場を超えて、最終的にメルディア姫も結婚という

王道の魔法ファンタジーゲームだった。




僕は、その山場の1人、主人公の同級生である

ダーラン・クロムエルが好きだった。


ダーランは、辺境伯アーミルド・クロムエルの息子であり、傲慢で小太りなキャラクターであり、入学から少し経った時、

「俺様のとこに来い!!

おいおい、俺様を無視するなんて、良い度胸じゃねーーか!」

と、女生徒に突っかかるが、


「そんなことをする奴に、着いて行くわけないだろ!!」

と、ゲームのチュートリアルの敵として、倒される。

そして、その事が広く知られて、父親のアーミルドにも伝わり、絶縁されるという流れになる。


最終的には、

「ロイ、お前は良いよなぁ、女に囲まれて、幸せになって‥‥

それに比べて、俺様の人生はメチャクチャだ!

殺してやる!!」

と、ロイに迫るが、返り討ちに遭い殺されるという結末となった。


ただ、傲慢で怒り散らすようになるのも5歳の頃に母親のジュリアンが暗殺されることが原因だ。

それまでは、元気で活発な男の子だったことが後から、ゲームで明かされた。




僕はこのキャラクターを見ていつも思う、


(母親の死を乗り越えて、努力すれば、こんなことにはならなかったはずなのに)


僕が幸せなのも努力が無かったら、ありえないことだった。



「うぅッツ!!」

ただ、もう体が限界みたいだ。

自分の体のことだ、これは、もう抗えない死ということが考えなくても手に取るように分かる。


「最高な人生だった‥‥。」



そして、僕の人生は幕を閉じた。






————

———

——


「目が覚めた‥‥?」

目が覚めたら、全く知らない天井だった。


「ここは‥‥いったい‥‥‥?」

そうして、辺りを見渡すと鏡があった。

そこに映る自分は、“永遠の光”の悪役、ダーラン・クロムエルになっていた。


「なんで、こんなことに‥‥!」

どうやら、僕はダーランに転生したようだ。


「ダーラン様!ご無事で何よりです!!」

と、7歳ぐらいの女の子が泣きながら、走って来た。


(あぁ、ダーランはこんなにも愛されていたんだな。‥‥僕は決めた、僕はダーランの人生を変えよう。こんなに愛してくれる人達を悲しませないために。)



それから、僕は頑張った。


毎日運動をした。

毎日勉強をした。

毎日魔法の訓練をした。

そして、母親の暗殺も防いだ。


その結果、僕には沢山の人で溢れるようになった。

ただ、モテなかった。

‥‥痩せなかったからだ。



(何故だぁぁぁぁあ!!!)














新作を投稿しました!

これからも見て頂けると幸いです!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る