第2話 『優しいから好き』と『好きだから優しい。』
「優也!待ったー?」
「ううん、今来たところだよ。」
「あ、今のすっごいデートっぽいね!」
「デートっぽいじゃなくて、今からデート行くんだよ。」
「えへへ、そうだね!」
今日は彼女、結とのデートだ。
結は明るくて、優しくて、ノリも良くて、本当に可愛い彼女だ。
だから、色んな人から好意を持たれている。
そんな中、『何故か』俺は彼女と付き合うことになった。
「ネットのオススメで、予約したカフェって、あそこ右に曲がったとこだよね?」
「そうだね、メニューも美味しそうだったよね。」
「うん!うん!私、楽しみ!」
そんな風に話していると、前から車が来た。
僕は車道側にいる結の横に移動して、結の車からの危険を失くす。
(こういうのをスマートな人は車に気づく前に自然とするんだろうな。)
今の僕の動きだと、とてもスマートとは言えなかった。
「優也は優しいね!」
「そんなことないよ、スマートな人はもっと上手く出来るよ。」
なんとも、情けない言い訳だ。
「ううん、私は優也のそういう不器用な優しさが好きだよ。」
「‥‥‥『優しいから好き』は間違ってるよ。だって、僕は‥‥僕は結が『好きだから優しい』と思われるようにしてるだけで‥‥。」
本当にこんなことをする僕が嫌いだ。というか、こんなことを言っちゃう僕も嫌いだ。
「だから、結の勘違———
———うるさい!」
「えっ!?」
こんなことを言われるのは初めてで驚いてしまう。
「私が優也を好きなのは、たくさんの人に優しいあなたを見たから!
私があなたを好きになった理由の否定をしないの!」
「ご、ごめん。そんなつもりじゃ‥‥。」
「それに!それは‥‥それで‥。」
「ん?」
「なんでもないの!とにかく、そんなことしちゃダメ!分かったの!?」
「はい、分かりました!」
あまりの剣幕に思わず、敬語になってしまう。
「もう!私、先に行く!」
「ま、待ってよー。」
そう言って、結と走って行く。‥‥カフェの予約はしてるから、急ぐ必要はないけど。
そんな会話をする度に気付く、結をどんどん手放せなくなっていく自分がいることに。
そして、そんな自分に驚いて、なんだか嬉しくなることに。
優しい人って、自分がすることを当たり前だと思うことってありますよね。
次は、結ちゃん視点ですね!気が変わらなかったら。
ショートショートストーリー WOULDYOU @dottisotti
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