第9話 無人の教室

「あーあ、制服汚れちゃったなあ。」

達也が俺の中から自身を抜きながら悪態をついたが俺は呼吸を整えるのに精いっぱいだった。

「まあいいや。やっぱおまえ、俺に女みたいに鳴かされてる方がいいでしょ?」

そう言って達也はニヤリと笑った。

俺は無意識にコクリと頷く。

そんな達也の笑顔を見て、ああやっぱり好きだなあと思った。それと同時にまだ物足りなさそうに最奥が疼く。

「俺の彼女、かわいいけどマグロなんだよね。だから気が向いたらまた抱いてやるよ。」

達也は身支度を整えながら言った。

「え…?」

「あ、そうだ。これ。ラインのID。」

達也は俺のポケットに小さな紙切れを入れた。

「俺が呼んだら準備してすぐ来いよ。お望み通りかわいがってやるから。」

じゃーね。と呑気に手を振って、何事もなかったかのように達也は教室から出ていった。

一人残された俺は、しばらくその場から動けなかった。

「達也……。」

ぽつりと零れた名前に応える者は誰もいなかった。

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