花とわたし

とりむね

花とわたし

  咲くクラス花の散るらむわたしだけ

  (さくくらすはなのちるらむわたしだけ)


  通学路赤い躑躅に交じる白

  (つうがくろあかいつつじにまじるしろ)


  しがみつく蒲公英の絮わたしかな

  (しがみつくたんぽぽのわたわたしかな)


  薔薇の棘自意識過剰な自己防衛

  (ばらのとげじいしきかじょうなじこぼうえい)


  悪目立つわたしの十薬蓋をする

  (わるめだつわたしのじゅうやくふたをする)


  花石榴黙の落花は実に託す

  (はなざくろもだのらっかはみにたくす)


  紫陽花は予定調和のわたし色

  (あじさいはよていちょうわのわたしいろ)


  夢うつつ白百合歩く唯一本

  (ゆめうつつしらゆりあるくただいっぽん)


  向日葵に陽射しは呪縛力尽く

  (ひまわりにひざしはじゅばくちからつく)


  帰り道萎む朝顔もうひとつ

  (かえりみちしぼむあさがおもうひとつ)


  「触れないで」鳳仙花の種抱え込む

  (ふれないでほうせんかのたねかかえこむ)


  酸漿に空っぽ着飾るわたし見る

  (ほうずきにからっぽきかざるわたしみる)


  群れて咲くわたしの中の彼岸花

  (むれてさくわたしのなかのひがんばな)


  撫子の咲かない国へ移住したい

  (なでしこのさかないくにへいじゅうしたい)


  息を止め金木犀の横を過ぎ

  (いきをとめきんもくせいのよこをすぎ)


  秋桜に哀愁感じる歳じゃなし

  (こすもすにあいしゅうかんじるとしじゃなし)


  野菊ほど控えめじゃない本当は

  (のぎくほどひかえめじゃないほんとうは)


  無味無臭買い手市場の室の花

  (むみむしゅうかいてしじょうのむろのはな)


  密やかに寒梅一分紅の咲く

  (ひそやかにかんばいいちぶべにのさく)


  あの花を呼びたい「プリムラポリアンサ」

  (あのはなをよびたいぷりむらぽりあんさ)

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