魔術師のすゝめ
小槌彩綾
プロローグ
「……会えて、よか――った」
そう言って、目の前で最愛の人は息を引き取った。
なにもできなかった。
ただ、彼が目の前で殺されるのを黙って見ていることしかできなかった己が許せない。
ああ、そうか。
なんでこんな簡単なことに気が付かなかったんだろう。
いなくなったのなら、時間を戻せばいいんだ。
そうつぶやいて、私はフッと微笑んだ。
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