王都竜騎士団団長のルートヴィッヒは愛竜と共に旋回中、竜の言葉を理解する少女アリエルと出会う。気難しい竜に気に入られた彼女を、竜丁(竜の世話係)として竜騎士団に迎え入れるところから物語が始まります。
初の女竜丁という立場から厳しい視線を向けられるものの、持ち前の明るさと聡さで様々な難局を乗り越えていくアリエル。一方現王の異母兄であるルートヴィッヒは、幼少時に命を狙われ周囲の人間も死に追いやってしまった自責の念から逃れられない。周囲からの信頼は得ているが他人に踏み込まない彼を愛竜トールは”独りぼっち”と呼ぶ。アリエルとの出会いは、ルートヴィッヒをどのように変化させていくのでしょうか。
ルートヴィッヒはとても誠実で素晴らしい人柄ですが、「でもさ、もうちょっとこう、何かない?」といいたくなるような、なんとなく物足りなさを感じてしまう人でもあります。そんな彼がアリエルの優しさと明るさに触れて、賢さに助けられて、そして美味しいごはんに胃袋も掴まれて(これは竜騎士団ほか全員!)、少しずつ感情がこぼれてくるようになるのです。そして迎えるあの瞬間……ああ、たまんないですね。思い出しただけで涙もニヤニヤも止まりません。どのシーンかは読んでのお楽しみです。たくさんありますけどね!ふふふ。
王政が抱える闇、竜騎士団が抱える問題など基本シリアスではありますが、要所要所でコミカルなキャラたちが楽しく盛り上げてくれるシーンも。思わず笑顔にさせられる作品です。