涼新た白檀の孤煙たなびき

涼新た 白檀の孤煙たなびき









 仏間でお線香を一本、上げる。縁側から吹いてくる風が、白いレースカーテンを揺らしている。

 和室からふわ、と香ってくる、白檀びゃくだんの匂いが好きです。

 白檀は仏具としてのお線香にはよく用いられる香りです。仏具として意識することの方が多いですが、香りとして意識してみると、あの木の清々しさにまろやかな甘みを含んだ香りが、とても上品に感じます。お彼岸の頃、誰もいない部屋から風に乗って、さっき灯したお線香の甘くほろ苦いような香りがするのが、気持ちいいです。

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