朝まだきあをし猿捕茨の花

朝まだき あをし 猿捕茨の花









 実家の庭には猿捕茨さるとりいばらが植わっていました。

 まるっこく、つるりとした葉っぱで、五月になると柏の代わりにお餅に巻いて、柏餅にしたものです。

 年中その葉を見ていたのに、私は猿捕茨の花を、ちゃんと見たことがありませんでした。

 春に黄緑色の、小さな丸い花を小手毬のようにつけるそうです。

 まだ、朝陽の昇らない薄闇の中、私がベッドで微睡んでいる頃、猿捕茨の花は、私の知らない碧さで、静かに咲いているのでしょうか。


 猿捕茨の花は、山帰来の花とも呼ぶそう。菝葜とも書くそうで、あの丸く愛らしい姿にこういう漢字や呼び名が当てられるのは、格好いいですよね。



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