第66話 異星
アデス村長の家に入ると、壁一面には村の歴史を物語る古い写真や地図が並んでいた。
リオ兄の家のように電子レンジやテレビやマッサージチェアなど、遺物の電化製品が集められている。
電気を扱える異星人が村にいるのだろう。もしかしたら村長自身が異星人なのかも知れない。
その時、扉が開いて、一人の女の子が顔を赤らめて入ってきた。さっき目が合った女の子だ。
「アデスじいちゃん、お客さんが来たの?角のお兄ちゃん...」
「おぁ、プナ。こちらはコフィとスピカじゃ。アスタロトに立ち向かう手がかりを探す旅をしているんじゃよ」
プナが興味津々のまなざしで俺とスピカを見つめ、質問を投げかけた。
「コフィは、うちの村を助けてくれるの?」
プナの期待に満ちた瞳を見て、スピカが言った。
「コフィは、すっごい強いのよ!2メートルでも3メートルでも熊なんて、ちょちょいの、ちょいよ!」
「そうなの?コフィ、カッコいいし、強いんだね!」
プナが俺の服の裾をギュッと掴む。おいおい。どんな安受け合いだよ。熊なんて倒したことないぞ。
マツモト村のハズレにも熊が出る。絶対に近づかないこと、気配を感じたら避けることをリオ兄に教わった。
熊は、強くて恐ろしい。なにより、素早くて、賢い。
「あははは。ま、任せて」
プナが顔を赤くして、もじもじとうつむいて言った。
「ありがとう。私ずっと怖くて。コフィがいるなら、安心ね。私、コフィのお嫁さんにしてほしいな...」
スピカが間髪入れずに間に入る。
「は?だめよ。いきなり何言ってんの?子供だから何言っても許されると思ったら大間違いよ!」
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