第38話 眩暈


 俺は、気持ちが溢れて、やっと言葉が出てきた。


「みんなが本当にスピカのことを祝福しているんだ」


スピカが嬉しそうに微笑む。


「うん、そうみたい。ちょっと感動しちゃった。」


 俺は、スピカが羨ましいかった。俺の心は、だんだん曇ってきた。俺の言葉は、途中で切れる。


「そうか、スピカは、本当に両親に愛されているんだ。でも、俺は...」


 スピカが俺を優しく励ます。


「コフィ、大丈夫。コフィもきっと両親に愛されていたはずだよ」


 それを聞いて、心の中に何かが揺れ動く。そうだと思いたい、でも、それと同じくらい、違う!違う!と心の声が大きく響く。


「でも、もう直接確かめれない。どうして、父さんも母さんも俺を残して死んでしまったの?訳のわからないことばかり、俺に残して。俺は、これからどうしたらいいんだよ」


 そして、手に持っていた卵を見つめる。俺の涙がポツポツと卵に落ちる。気がつくと、沈黙した卵が脈打つように光っていた。


 俺は、急な頭痛と眩暈で、目の前が真っ暗になった。頭が割れそうだ。意識が遠のいていく。額の角がまた少し成長している....

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