第34話 驚異

「失せろ!下衆!飛んでけ!」


 スピカが完璧なインパクトのタイミングで、込めた全ての力をダメージとして伝える。土煙を起こす爆発が威力を物語る。

 ザイドが空の彼方へぶっ飛んでいく。

 腕からは、蒸気が立ち上っている。巨人の力をすべて込めて使い切る1日1回限定の驚異のパンチ。ご利用は計画的に。

 スピカが怒りを抑えずに吐き捨てるように言った。


「ちっ、この感触。死んでないわね。そうだ、思いついたわ。次は、パンチに重力魔法を乗せて、重たくして殴りつけてやる。威力をさらに何倍かにできるはずよ。ふふふふ」


 俺は、スピカの怒気に震えた。

 ふとポケットに手を入れる。そこには、入れた覚えがない写真が何枚か入っていた。見ると、これは!

 バッグの中から初めて聞く声がした。


「いけないんだ!いけないんだ!コフィは、ポッケの写真をあとでこっそり見るのが楽しみなんだ!クフフフ!」

 

 驚いてバックの中をみると、卵「ナミ」は一回り大きくなって、キラキラと、光っていた。まさか、卵の「ナミ」が喋ったのか?

 スピカが驚く。


「ナミちゃん、卵のまま喋れるの?!流石、宇宙から来た卵ね。

 いいことを教えてくれたわ!貸しなさい!やっぱりさっきのアスタロトの写真じゃない!なんで水着の写真なのよ!いやらしい!」


 また写真をビリビリに破いた。スピカが怒りながら俺のお尻を叩く。


 俺の角も少し大きくなった気がする。

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