第32話 手下

 スピカが警戒心を丸出しにして、立ちはだかる。


「私は、しっかり覚えてるわよ!アスタロトの手下め!気安く話しかけないで!この悪魔の眷属!」


 ザイドがあっけらかんと悪びれなく言った、


「俺は、ただの人間だよ。お嬢ちゃん。

別に悪いことしようってわけじゃねぇ。コフィ坊やを立派な男にして、良い女のところに連れていくだけさ。

 もともと悪魔の子が悪魔に成長するのを助けるのは、教育だろ?別に悪事じゃないでしょうよ」


 スピカが溢れる嫌悪をそのままに激怒する。


「それが悪事だっていってるのよ!」


ザイドがピエロのように大袈裟な動きで写真を差し出した。


「コフィ坊やには、ほら、アスタロトの可愛い写真をあげよう。心が通じた相手の写真が次々出てくる魔法付き。レアだけだど、えっちな写真が出てきたら当たりだよ」


 俺は、思わず写真に手を伸ばし、写真に触れた。ピリリと静電気のようなものが、指先に走った。

 スピカが写真を取り上げて、ビリビリに破く。顔を真っ赤にして怒って言った。


「最低、最悪の悪事よ!コフィ、悪魔に惑わされないの!」

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